西鉄321形電車

西鉄321形電車の歴史と特徴

西鉄321形電車は、かつて西日本鉄道が運行していた北方線で使用されていた電車の一つで、1948年に初めて導入されたボギー車です。この電車は、北方線の混雑緩和を目的として設計され、当時の路面電車網において重要な役割を果たしました。

北方線の背景

北方線は、小倉軌道合名会社が1906年に開通させた馬車鉄道を原点として、1920年に電化された路面電車路線です。本路線は、いくつかの変遷を経て、最終的には西日本鉄道が経営を行うことになりました。特に第二次世界大戦後、利用客が増加したことから、運行に関する問題が深刻になり、混雑は大きな課題となりました。

そこで、新型車両の導入が計画され、321形がその一翼を担うことになりました。321形は、当時流通していた他社の車両を参考にしつつ、特に業界のニーズに合わせて設計された大きな車両です。

321形の特長

321形は、4つの車輪を持つボギー構造を採用し、安定した走行性能を実現しました。全高は3,693 mmと比較的大きく、屋根上には雨樋が設けられた独自の「張り上げ屋根」というスタイルです。また、半鋼製の車体が特徴で、北方線における初の鋼製車両でした。このことは、長期的な維持管理および運用面での良好な結果をもたらしました。

321形は、初めての導入時には2両（321と322）が組成され、80人という大容量の定員が設けられました。これにより、混雑緩和が期待されましたが、導入後しばらくは客足が伸び悩み、さらなる車両の増備は難しい状況が続きました。結局、圈続して発展を遂げるボギー車323形が登場するのは、導入から8年後の1956年のことです。

運用の変遷

321形は、導入以来北方線の主力車両として使用され続けました。当初はビューゲル式の集電装置と屋根上の前照灯が設置されていましたが、後にZパンタに変更され、前照灯も中央窓下に移設されました。。乗降扉は開戸から折戸に改修され利便性向上が図られました。

北方線では、ワンマン運転は行われておらず、321形もその対応工事はされることはありませんでした。1980年11月2日、北九州モノレール建設のために路線が廃止される際、321形もその運命を共にしました。

特に321は、廃止後に沖縄県宜野湾市へ寄贈されましたが、2019年にはこちらも解体され、今では321形の車両は完全に現存しなくなっています。こうして、西鉄321形電車はその歴史の幕を閉じることになりましたが、その存在は今日も多くの鉄道ファンの記憶に残る存在となっているのです。

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