西門紅楼

西門紅楼（せいもんこうろう）

西門紅楼は、台北市西門町に位置する赤レンガ造りの歴史的建造物です。八角形の建物（八角堂）と、それに続く十字形の建物（十字楼）が組み合わさった独特な構造を持ち、周辺の広場を含めた一帯を「西門紅楼」と総称します。日本統治時代の初期に近藤十郎と松ヶ崎萬長の共同設計によって建てられました。

歴史

「西門紅楼」という名称は比較的新しく、1997年の古跡登録時に付けられました。建設当初は公衆衛生施設として1908年に竣工しましたが、その後すぐに公営市場へと転用されました。台湾で初の公営市場として、日用品や食料品、雑貨などを販売し、飲食店や写真館なども併設されていました。当時は「新起街市場」と呼ばれていましたが、八角形の形状から「八角堂」とも呼ばれていました。近くには台北稲荷神社も建立されました。

1945年の第二次世界大戦終結後、国民党政府がこの施設を接収し、中国本土からの移民が「紅楼劇場」として利用しました。京劇や越劇、話劇などが上演され、1963年には映画館「紅楼戯院」に転用されました。しかし、1970年代から1990年代にかけては、周囲の違法建築に囲まれ、一時的に衰退しました。1994年に展示活動が行われたことをきっかけに、1997年に第三級古跡に指定され、再活性化が進められました。

2000年の火災で十字楼が焼失しましたが、その際に周囲のバラックも撤去されました。映画館は1997年に閉鎖されましたが、2002年には紙風車文教基金会によって十字楼が修復され、演劇公演が再開されました。2007年には台北市文化基金会に管理が移管され、2008年には台北市都市景観大賞を受賞しました。現在は、カフェ、劇場、ショップが入る複合施設として、また広場はイベントスペースとして活用されています。

構成

西門紅楼は、八角形の八角堂と十字形の十字楼、そして周辺広場から構成されています。赤レンガ造りの外観は、辰野式建築の特徴を示しています。八角堂は、コンクリートの帯が施された赤レンガ壁で、バットレスで支えられています。2階には半円アーチ型の窓と長方形の窓が並び、屋根には明かり取りの窓が設けられています。内部は、1階にインフォメーションカウンター、カフェ、土産物屋があり、各時代の文物が展示されています。2階は劇場として、映画、ライブ、演劇などに利用されています。天井は鉄骨がむき出しになっており、日本製鉄骨が使用されています。

十字楼は、赤レンガの壁とバットレスで構成されており、白帯はありません。内部には、小さなショップが16店舗入っています。八角堂と十字楼が組み合わさった構造は、東洋と西洋の建築様式が融合した独自のスタイルとされています。

北側広場は、週末には市場が立ち、記者会見やイベント会場として利用されます。南側広場は、夜になると露店が並び、ゲイバー的な側面も持っています。

アクセス

MRT西門駅（BL11/G12）から徒歩1分です。

外部リンク

公式ウェブサイト（中国語）

ウィキメディア・コモンズ

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