覚信尼

覚信尼（かくしんに）は、鎌倉時代に生きた女性であり、浄土真宗の宗祖として知られる親鸞の末娘です。元仁元年（1224年）に生まれ、弘安6年11月24日（1283年12月14日）に亡くなったとされています。母は恵信尼（えしんに）で、俗名は王御前（おうごぜん）と呼ばれていました。常陸国（現在の茨城県）が出身地です。

覚信尼は、久我通光（こがみちみつ）の女房となり、兵衛督局（ひょうえのかみつぼね）と称しました。その後、日野広綱（ひのひろつな）に嫁ぎ、覚恵（かくえ）・光玉尼（こうぎょくに）という子供をもうけましたが、広綱の死後、小野宮禅念（おののみやぜんねん）と再婚し、唯善（ゆいぜん）を産みました。

覚信尼は、父親である親鸞が東国から帰京する際、母である恵信尼に代わって上京し、親鸞の身の回りの世話をすることになったと伝えられています。その後は、京都において親鸞の布教活動を献身的に支え続けました。親鸞の没後、覚信尼は弟子たちの布教活動をまとめる役割を担い、そのことが浄土真宗の教団発展に大きく貢献しました。

覚信尼は、親鸞の直弟子である顕智（けんち）らの協力を得て、京都の東山大谷に廟堂（大谷廟堂）を建立しました。自らは留守職（るすしき）となり、本願寺の基礎を築き上げました。彼女の尽力があったからこそ、浄土真宗は発展し、今日に至るまで多くの人々に信仰されています。

覚信尼は、親鸞の娘としてだけでなく、一人の女性として、また宗教家として、その生涯を浄土真宗の発展に捧げました。彼女の功績は、浄土真宗の歴史において決して忘れることのできない重要なものとして位置づけられています。彼女の存在は、親鸞の教えを広め、後世に伝える上で、かけがえのないものでした。

覚信尼が建立した大谷廟堂は、後の本願寺となり、浄土真宗の中心的な場所として発展しました。彼女が築いた基盤は、その後の本願寺の発展を支え、多くの人々に心の拠り所を提供し続けています。覚信尼の生涯は、信仰の力と献身の精神を示すものとして、今もなお多くの人々に感銘を与えています。

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