久我通光

久我通光（こが みちてる）：鎌倉時代の公卿・歌人

久我通光は、[鎌倉時代]]前期に活躍した公卿であり、歌人としても名を残しました。源通親の三男として生まれましたが、母が後鳥羽天皇の乳母であったことから、嫡男として扱われることになります。異父姉である承明門院が土御門天皇を生んだことも、彼の運命に影響を与えました。一般的には[[久我家]の祖とされています。

生涯

正治3年（1201年）に公卿となり、異母兄である堀川通具を追い越して昇進します。右近衛大将を経て、建保7年（1219年）には内大臣に任じられました。承久の乱においては、後鳥羽上皇の皇子である雅成親王の義父であったこと、そして北条義時追討の官宣旨発給に太政官の上卿として関わったことから、鎌倉幕府に恐懼され、籠居を命じられます。しかし、その後も密かに隠岐国の後鳥羽上皇と連絡を取り合っていたと伝えられています。

後には後嵯峨天皇の大叔父として、弟である土御門定通と共に権勢を振るい、寛元4年（1246年）には太政大臣に昇りました。歌人としても才能を発揮し、「千五百番歌合」に参加したり、『新古今和歌集』などの勅撰和歌集に歌が収録されたりするなど、当代を代表する歌人の一人として知られています。また、琵琶にも優れていたそうです。

『徒然草』第100段には、通光が水を飲む際に主殿司に「まがり」に入れて持って来させる姿が描かれており、当時の貴族の生活様式を垣間見ることができます。

官歴

文治4年（1188年）：叙爵
建久元年（1190年）：加賀守
建久2年（1191年）：従五位上
建久5年（1194年）：侍従
建久10年（1199年）：正五位下、禁色、右少将
正治2年（1200年）：従四位下、丹波介、春宮権亮、右中将
正治3年（1201年）：正四位下、従三位、右中将（留任）
建仁2年（1202年）：尾張守、正三位、従二位
元久元年（1204年）：権中納言、勅授帯剣
元久2年（1205年）：左衛門督、正二位
建永2年（1207年）：権大納言
承元2年（1208年）：皇后宮大夫
建保5年（1217年）：右近衛大将
建保6年（1218年）：大納言
建保7年（1219年）：内大臣、右大将辞任
承久3年（1221年）：承久の乱後、内大臣を辞任
寛元4年（1246年）：太政大臣、従一位
宝治2年（1248年）：太政大臣を辞任、薨去

晩年には、後妻に久我家の家領のほとんどを与えたことが、後に家領相続問題を引き起こし、久我家が没落寸前となる原因を作りました。しかし、後妻の相続した所領が久我家再興の足がかりとなりました。

系譜

父：源通親
母：藤原範子（後鳥羽天皇乳母）
妻：藤原宗頼の娘
長男：久我通平
二男：久我通忠
五男：六条通有
* 六男：久我雅忠


久我通光は、公卿として、また歌人として、鎌倉時代前期の文化に大きな足跡を残した人物です。

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