大谷廟堂

大谷廟堂（おおたにびょうどう）

大谷廟堂は、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人の最初の墓所です。親鸞聖人は弘長2年（1262年）に入滅後、京都の鳥部野北辺にある「大谷」に葬られました。

歴史

文永9年（1272年）: 親鸞聖人の娘である覚信尼（かくしんに）が、東国の門弟たちの協力を得て、「大谷」から「吉水の北辺」（現在の京都市東山区林下町付近）に改葬し、大谷廟堂を建立しました。現在、その場所には知恩院の塔頭である崇泰院（そうたいいん）が建ち、門前には「親鸞聖人旧御廟所」・「大谷本願寺故地」の石碑が立っています。
永仁3年（1295年）: 親鸞聖人の御影像を安置し、「大谷影堂」となりました。
正安4年（1302年）: 覚恵と唯善の間で留守職就任問題（唯善事件）が起こりました。
徳治元年（1306年）: 覚恵は唯善に大谷影堂の鍵を強奪され、占拠されます。
延慶2年（1309年）: 妙香院により、大谷廟堂の留守職は覚如（かくにょ）に継承されることが裁定されました。敗れた唯善は、「大谷影堂」を徹底的に破壊し、「御影像」（親鸞聖人の木像）と遺骨の一部を奪い、鎌倉へ逃亡しました。東国門徒は、大谷廟堂留守職継承を血縁に限定されるのを嫌い、覚如が留守職を継承することを無条件には認めませんでした。覚如は、やむなく留守職継承を前提とした『十二か条からなる懇望状』（同年7月26日付）を記しました。
延慶3年（1310年）: 覚如は、東国へ勧進と留守職承認の懇願のために赴き、半年に渡る懇願の末、承認され正式に留守職を継承しました。
延慶4年/応長元年（1311年）: 覚如は親鸞聖人の五十回忌にあたり、「御影像」と影堂を再建しました。
応長2年（1312年）: 覚如は「大谷影堂」（「大谷廟堂」）を寺格化しようと「専修寺」と額を掲げましたが、延暦寺の反対により撤去しました。『存覚一期記』によると、高田門徒の真仏上人の門弟である法智がこの「専修寺」の額を下野国にある高田の如来堂に持ち帰ったといいます。後に如来堂は専修寺に名称を改めました。
元亨元年（1321年）: 覚如は再度寺院化を試み、「本願寺」と号し成立しました。
寛正6年（1465年）: 本願寺八世蓮如が宗主の時に、「本願寺」は延暦寺西塔の衆徒により破却されました（寛正の法難）。この法難に遭うまで、「本願寺」はこの地（大谷廟堂）にありました。

「本願寺」は数回に渡り寺基を移しているため、寺格化してから破却されるまでの「本願寺」を便宜上「大谷本願寺」と呼ぶ場合があります。

関連事項

本願寺の歴史
大谷本廟（西大谷） - 浄土真宗本願寺派が定める親鸞聖人の墓所。
* 大谷祖廟（東大谷） - 真宗大谷派が定める親鸞聖人の墓所。

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