親分はイエス様

親分はイエス様

『親分はイエス様』は、2001年に制作された日本と韓国の合作映画です。本作は、ヤクザとして生きてきた男が、あるきっかけからキリスト教に目覚め、伝道師として新たな人生を歩む姿を描いています。実在する元ヤクザのキリスト教伝道集団である“ミッション・バラバ”をモデルにしており、信仰の力による人間の変化と再生をテーマにした作品です。

あらすじ

物語の主人公は、極道・山政会の幹部である木原勇次。彼は、対立する中森組との激しい抗争に明け暮れる日々を送っていました。しかし、抗争が膠着状態に陥ったある日、木原と中森組の幹部である島俊夫は、それぞれの組長から身を隠すように命じられます。実は、組長たちは2人を事件の首謀者に仕立て上げ、手打ちを行うことを企んでいたのです。つまり、2人は組織にとっての捨て石に過ぎなかったのです。

大阪に身を隠した勇次は、孤独と絶望から麻薬に溺れ、心身ともにボロボロになっていきます。一方、島は組長が送り込んだ刺客によって命を奪われてしまいます。朦朧とした意識の中、街を彷徨う勇次は、ふと目に入った十字架に導かれるように教会へと足を踏み入れ、そこで意識を失い倒れてしまいます。彼を助けたのは、教会の牧師でした。

一命を取り留めた勇次は、韓国人クリスチャンの妻・盛愛と共に教会の日曜礼拝に出席します。そこで彼は、かつて自分と同じヤクザだったという志田徹也の講話を聞きます。志田は、自らの罪を償うために十字架を担いで歩くという構想を語りますが、過去の罪により逮捕されてしまいます。

志田の意志に深く共感した勇次は、キリスト教に改宗することを決意します。そして、志田の遺志を継ぎ、十字架を担いで日本縦断の旅に出ることを決意するのです。

音楽

映画の随所には、有名な賛美歌である「アメイジング・グレイス」のメロディーが効果的に使用されています。この楽曲は、勇次の心の変化や、神の愛と赦しを象徴する重要な要素となっています。

キャスト

木原勇次：渡瀬恒彦
島俊夫：奥田瑛二
志田徹也：渡辺裕之
桑原睦夫：ガッツ石松
川平悟：誠直也
美加：増田恵子
盛愛：ナ・ヨンヒ
瑛姫：ユン・ユソン
玉城玉江：夏樹陽子
玉城繁：渡辺哲
木村達夫牧師：中村嘉葎雄

スタッフ

監督：斎藤耕一
脚本：松山善三、斎藤耕一
音楽：宮川泰

作品のテーマ

『親分はイエス様』は、暴力と抗争に明け暮れるヤクザの世界から、信仰を通して新たな人生を見出す男の姿を描いています。罪と赦し、愛と希望、そして人間の再生という普遍的なテーマを、重厚なドラマと美しい音楽で表現した作品です。渡瀬恒彦をはじめとする実力派俳優たちの演技が、物語に深みを与えています。

関連情報

ミッション・バラバ: 映画のモデルとなった実在のキリスト教伝道集団。
ふうけもん: 2008年製作の映画で、本作と同様に「ヤクザからの改心」をテーマとしており、プロデューサーが共通している。

外部リンク

ミッション・バラバ・ホームページ
CINEMA TOPICS ONLINE

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