親子酒

親子酒（おやこざけ）

親子酒は、日本の古典落語の代表的な演目として知られています。この話は、酒を愛する親子のユーモラスなやりとりを描いており、観客に笑いを提供します。原話は、上方における初代露の五郎兵衛が1707年に出版した笑話本『露休置土産』に収められている「親子共に大上戸」とされています。

主な演者

この演目では、数多くの演者が名を馳せています。故人では、五代目古今亭志ん生、五代目柳家小さん、八代目三笑亭可楽、十代目金原亭馬生などが挙げられ、現在も活躍中の演者には十代目鈴々舎馬風や三代目三遊亭遊三、六代目柳家小さん、三遊亭好楽などがいます。彼らはそれぞれのスタイルでこの楽しい話を演じ、多くの観客に笑顔を届けています。

あらすじ

物語は、ある商家に住む酒好きな大旦那と若旦那の親子を中心に展開されます。父である大旦那は息子の酒癖が悪いことを心配し、二人で禁酒をしようと提案します。それに息子も応じるのですが、酒を楽しむことがない大旦那は、禁酒を守ることが次第に厳しく感じるようになり、最終的に禁酒を破ってしまいます。

ある晩、息子が出かけている間に、大旦那は妻に頼んで隠れて酒を飲むことにします。酔っぱらった彼が帰宅する頃、息子もまた酔っ払って帰ってきます。父親は息子の酔い具合に驚き、「なぜ酔っているのか？」と尋ねると、息子は出先の旦那に引っ張られたことを訴え、「酒はやめられませんよね！」と返します。このやり取りは、親子の特有の絆と酒の中毒性をコミカルに表現しています。

さらに、父親が「お前の顔は何度見ても違って見える。この化け物には身代を渡せない！」と毒舌を吐くと、息子は「俺も、こんなにぐるぐる回る家は要らない！」と切り返します。親子の滑稽なやりとりが観客を笑わせるポイントの一つです。

概略

元々この話は短編として知られていましたが、演じられるうちに他の酒をテーマにした話のマクラやオムニバスの一編として使われることが一般的でした。また、上方の演出では、息子が酔っ払ってうどん屋に絡んだ後に帰宅し、父親とのやりとりが繰り広げられるスタイルが特徴です。この落語は、親子の深い愛情にコメディの要素が交じり合った魅力的な作品で、今もなお多くの人々に親しまれています。

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