観世宗節

観世 宗節（かんぜ そうせつ）

観世 宗節（1509年 - 1584年）は、戦国時代に猿楽師として名を馳せた観世流の大夫であり、彼の時代には観世芸能の発展が大きく進みました。彼は「左近」の名を初めて名乗ったとも伝えられていますが、これには後の誤伝の可能性があると言われています。彼はまた、徳川家康との結びつきを強め、観世座の隆盛を築く基盤を作り上げました。

生涯について

出自

観世 宗節は観阿弥の系譜に連なる観世元広の三男として生まれました。母は金春座の大夫・金春禅鳳の娘であり、能楽草創期の名人たちの血筋を引いていました。彼の家系は能楽の伝承において重要な位置を占めるものであり、長兄や次兄は他の名跡を継いでいたため、元忠が家の後継者として位置付けられました。

若き大夫としての活動

15歳で父を失った元忠は、七世大夫としての道を歩み始めます。彼は早くから観世流の伝承者としての訓練を受け、名人と呼ばれる観世弥次郎長俊に師事しました。また、彼は当時の有力者と結びつくために積極的に活動し、幕府の権力者や地域の大名との関係を深める機会を得ました。彼の活躍は観世流の発展に直接寄与し、彼自身が能楽界の中心的存在として成長していくこととなります。

戦乱の中での試練

しかし、彼の活動は常に順調ではありませんでした。幕府の権力が低下し、戦乱が続く中で元忠の演能の機会は減少し、観世座も厳しい環境に置かれました。そのため、彼は一般大衆を対象とした勧進能に活路を求め、地方興行にも積極的に取り組んでいきました。特に九州や伊勢の神社で行われる興行は、彼の活動の重要な一部となりました。

晩年と後継者

56歳で大夫の職を退き、宗節として隠居生活に入った彼は、生涯独身でしたが、養子に元尚を迎え入れました。しかし、信長の政権下での冷遇や、元尚の急死など、観世座の未来は大きな試練に直面します。その影響で、彼は観世座の再興に尽力しますが、元尚の子である鬼若が隠れた才能として成長し、将来、観世座を再興させることとなるのです。

執筆と伝承活動

宗節はまた、彼自身の芸を伝えるための執筆活動にも力を入れました。先代の伝書や作品を整理し、後世に伝えることに尽力して、その名はとどまることなく繰り返し讃えられています。彼の影響は、観世流の伝統において広く認識され、彼の活動から多くを学ぶことができる今なお、能楽界に強い影響を与え続けているといえます。彼の生涯は、観世流がどのように今日の形となるまで発展してきたかを知る上で欠かせないものです。

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