金春禅鳳

金春 禅鳳：室町時代の猿楽師

金春禅鳳（こんぱる ぜんぽう、1454年 - 1532年頃）は、室町時代後期に活躍した猿楽師であり、優れた能作者として名を馳せました。彼の本名は竹田元安で、法名は桐林禅鳳です。金春禅鳳は、猿楽の発展に寄与し、多くの作品を残し、また能楽についての理論も提唱しました。彼の生涯や業績は、後の能楽にとって欠かせないものとなっています。

生涯

禅鳳は、大和猿楽四座の一つである金春座出身です。彼の父は金春宗筠、祖父の金春禅竹は猿楽の著名な作者でもありました。若いころから家族の影響を受け、禅鳳は才能を開花させました。7歳の時に祖父と共に大乗院門跡を訪れ、その後も彼は祖父から様々な教えを受けました。

19歳の時、金春座の祭礼で父の代役を務めるなど、順調に成長しました。しかし、文明12年に父を亡くし、彼は27歳で金春座の大夫に就任します。猿楽界では観世座が隆盛を誇り、金春座はそれに対抗しなければなりませんでした。

活躍と影響

禅鳳は、近隣の有力者の後援を受け、室町御所での演能を果たしました。これにより彼の名声は広がり、活動の場は奈良から京に拡大しました。彼は、細川政元や大内義興の支援を得て、様々な場で勧進猿楽を行いました。特に、京今熊野や粟田口での勧進猿楽は多くの人々に観賞され、その評判は高まりました。

彼の作品には、「嵐山」や「一角仙人」といった能楽があり、これらは幽玄な味わいよりも華やかさやエンターテインメント性が強調されています。彼は観世座の作品を強く意識し、それに対抗する形で自身のスタイルを確立しました。

能楽論と著作

禅鳳はまた、能楽論にも力を入れ、彼の著作は多岐にわたります。世阿弥から続く流れを汲みつつ、禅鳳独自の視点から能楽を分析しました。彼の著作の中には『元安本五音之次第』や『禅鳳雑談』などがあり、当時の猿楽の実態や技術について記述されています。

その著作は、禅鳳の時代における猿楽の技術の成熟や、他の諸芸との関わりを考える上で重要な資料とされています。家族とのつながりも強く影響を与え、特に弟子たちへの教育にも力を入れました。

最後に

金春禅鳳の業績は、室町時代の猿楽界に多大な影響を与えただけでなく、能楽の発展にも寄与しました。彼の作品や理論は、後世においても重要な位置を占め、能楽を語る上で欠かせない存在となっているのです。彼の生涯と業績は、現在においても多くの研究者や愛好家にとっての関心の対象であり続けています。

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