観世清廉

観世 清廉（かんぜ きよかど）の生涯と業績

観世清廉（かんぜ きよかど）は、1867年6月28日に生まれ、1911年7月17日に亡くなったシテ方観世流の能楽師です。彼は、二十三世観世宗家として、またその父である二十二世宗家・観世清孝の長男として知られています。幼少期は鋠之助という名で呼ばれ、和雪や擔雪といった号も持ち、当時の能楽の発展に大きく寄与しました。

幼少期と若年期の困難

幼少期には、1869年に徳川家と共に静岡に移住しましたが、その後の生活は困難を伴うものでした。特に1877年には東京に戻るも貧困から逃れられず、宮内省で給仕として働くことになります。10歳前後の彼の生活は非常に厳しいものでしたが、それでも彼は能楽に対する情熱を持ち続けました。

能楽師としての登場

1888年、22歳の時に観世流を継承しました。当初は若年のために観世紅雪が後見を務め、彼の能楽活動は順調に進みました。また、この時期には能楽復興の動きも盛んであり、彼の才能は次第に認められるようになります。1901年には新宿区に観世能楽堂を建設し、これにより彼の活動は一層活発化しました。

代表作と革新

彼の名作「素桜」は1898年に発表され、今でも多くの人々に愛されています。彼はその美声と演技力で同世代の名人として知られる梅若万三郎と互角に渡り合う存在となりました。しかし、彼は時に稽古に熱心でない一面も持っていたようで、少々怠慢なところもあったと言われています。それでも彼は、金剛右京を自宅に連れて同居させ、その才能を引き出す支援を行うなど、義侠心深い人柄を持っていました。

新しい試み

彼の能楽の舞台には常に革新がありました。1895年、喜多六平太と共に能楽堂初の電灯照明を導入し、観客に新たな視覚体験を提供しました。また、1905年には京城で初めての海外演能を行い、国際的な舞台でもその才能を発揮しました。これらの試みは、彼が単なる能楽師にとどまらず、文化の発展に寄与する存在でもあったことを示しています。

晩年と遺族

しかし、1907年頃から体調を崩し、徐々に病にかかることになりました。そして1911年、45歳の若さでこの世を去りました。彼には妻・久子（または国子）の他に実子はおらず、養子に観世元滋を迎え入れます。観世清廉の業績は、能楽界において永遠に語り継がれることでしょう。

参考文献

• - 表章『観世流史参究』（檜書店、2008年）

もう一度検索