観世清孝

観世清孝とは

観世清孝（かんぜ きよたか、1837年 - 1888年）は、シテ方観世流の能楽師であり、観世流の二十二世宗家として知られています。彼の父、観世左近清長のもとで幼少期から厳しい修行が始まり、6歳で観世大夫の地位を相続しました。しかしながら、幼年であったため、実際の運営は分家である観世銕之丞清済に委ねられていました。1852年には、遂に成人を迎え正式に観世大夫を名乗ることとなります。

肩書きと称号

彼は「三十郎」という通称を持ち、また維新後には東海道を行く旅の中で観世左近という名も名乗りました。号としては普雪と呼ばれ、文化人としての一面も持ち合わせています。彼は「最後の観世大夫」と称されることも多く、幕末から明治時代の日本における能楽の重要な一端を担っていたことが伺えます。

活動と苦悩

徳川家慶の時代において、観世清孝は観世流の代表的な存在であるにもかかわらず、先代から続く宝生流の優位が続いていました。また、次代を継いだ徳川家定は能楽を好まなかったため、観世清孝にとっては大変な困難な時期でした。幕末の混乱はさらに彼の活動を制約し、様々な苦悶が彼を襲います。

1869年、明治時代の初めに彼は静岡に移りますが、生活は厳しくなり、自己の装束などを多く手放さなければならない状況に陥りました。一方、東京では能楽が復興されつつあり、初世梅若実や五世観世銕之丞（紅雪）らがこの文化の振興に尽力していました。

1875年には東京での能楽再評価の波に乗って上京しますが、これが先に述べた梅若一門との間で免状発行権を巡る争い（観梅問題）を生むこととなります。この事件は1921年に梅若流が創設される原因ともなります。

後世への影響

観世清孝の死後、彼の息子たちも能楽の発展に寄与しました。長男の清廉は二十三世観世左近、次男の真弘は北海道で観世流の普及に尽力、三男の元義は片山九郎右衛門の名を継ぐことになりました。また彼の義兄は進藤流の宗家であり、相続の関係が彼の生涯に影響を与えました。

1988年、胃癌により52歳でこの世を去った観世清孝ですが、その功績は今もなお能楽界で尊重されています。彼の名前やその流派は、後世の能楽師たちによって受け継がれ、発展し続けています。観世清孝の生涯は、能楽という文化の深い歴史を物語る重要な一頁です。

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