観塘

観塘（クントン、英語名：Kwun Tong）は、香港の九龍半島東部に位置する地域で、商工業と住宅が混在するエリアです。九龍の主要地区の一つとして数えられ、行政区としては観塘区に属しています。

かつては香港の工業の中心地として発展し、東九龍における交通、商業、行政の中心としての役割を担っていました。東九龍政府合署もこの地にあります。旧啓徳空港に近かったことから、工場や倉庫が立ち並ぶエリアとして栄えましたが、空港の閉鎖と移転に伴い、その地位は相対的に低下しました。尖沙咀など九龍の中心部から離れていることもあり、長らく発展が停滞していました。

しかし、近年では、中国と香港の二重課税撤廃などの社会情勢の変化から、生産拠点が中国本土へ移転したため、工場や倉庫として使われていた建物の多くは、内装を改修してオフィスとして利用されています。また、24時間営業のショッピングセンター「apm」の開業により、新たな商業スポットとしても注目を集めています。観光資源は少ないものの、九龍東部の主要都市としての地位は揺るぎないものがあります。

観塘は、紅磡などと同様に、古き良き香港の街並みを残しており、バスターミナル周辺には雑多な商店が並び、昼夜を問わず多くの人々で賑わっています。また、映画『天使の涙』の舞台としても知られており、劇中に登場する鉄道はMTR観塘線です。

観塘は、尖沙咀、紅磡、九龍城と並び、香港島へのフェリーが発着する九龍側の玄関口の一つでもあります。多くの2階建てバスやミニバスのターミナルとしても機能しており、かつて海底トンネルが開通する前は、観塘埠頭は香港島へ向かうカーフェリーの出発点の一つでした。現在でも、九龍や新界からフェリーで香港島へ渡る人々のため、観塘埠頭を発着するバスが多く運行されています。香港最初の地下鉄であるMTR観塘線が早くから開通しており、交通の便が良いエリアです。観塘は、過去と現在が交錯する、香港の多様な側面を体感できる魅力的な地域です。

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