観賢

観賢（かんげん、854年 - 925年）は、平安時代中期に活躍した真言宗の僧侶です。俗姓は秦氏または伴氏とされていますが、出自は明確ではありません。讃岐国（現在の香川県）出身で、般若寺僧正とも呼ばれていました。

生涯

幼少の頃、阿古麻呂という名で、現在の高松市鶴尾地区の豪族の家に生まれました。862年、巡錫中の聖宝（理源大師）に見出され、京都へ上ります。872年には真雅に師事して出家・受戒し、聖宝から三論や真言密教の教えを受けました。895年には灌頂を受け、900年には仁和寺別当に就任。その後、般若寺を再興し、弘福寺別当や権律師を歴任しました。

909年には第9代東寺長者、919年には第2代醍醐寺座主、そして第4代金剛峯寺座主にも就任し、923年には権僧正に任じられるなど、真言宗の要職を歴任しました。また、918年と921年には空海（弘法大師）への大師号の下賜を奏請し、921年にそれが実現しました。高野山には宝亀院を建立し、空海が唐から持ち帰った「三十帖冊子」を東寺の経蔵に納めるなど、東寺を中心に真言宗の再編に大きく貢献しました。

故郷での顕彰活動

観賢の故郷である高松市鶴尾地区では、現在も顕彰活動が盛んに行われています。

剃刀塚と卒塔婆塚:
観賢が空海への諡号奏請のために勅使として空海の元へ向かった際、伸びた髪や髭を剃った剃刀を埋めたとされる場所が、現在の西ハゼ町にある「剃刀塚」です。また、近隣の田地には、観賢が母親のために一夜で田植えを終えたとされる「卒塔婆塚」があります。

観賢山久米寺:
昭和5年には、剃刀塚の傍に観賢山久米寺が建立されました。これは、地元篤志家の土地提供と、全国の真言宗寺院からの寄進によって実現したものです。寺には観賢僧正の木像が安置され、開眼行事も行われました。しかし、住職の山田澄園氏が昭和59年に没してからは無住寺院となっています。

『観賢大徳御一代記』:
昭和27年には、久米寺住職の山田澄園氏が観賢僧正の生涯や功績をまとめた『観賢大徳御一代記』を発行しました。この書物は、当時高松の政財界からの支援を受けて作成されたものでしたが、原本は長らく所在不明でした。近年、複写が地元鶴尾小学校で発見されたことがきっかけとなり、原本も発見されました。

鶴尾小学校による顕彰活動:
鶴尾小学校では、観賢僧正を顕彰する活動が活発に行われています。ふるさと教材に観賢の話が収録されたり、小学生向けに再編集された『ふるさと鶴尾に生まれたかんげんさん』が発行され、地域住民や四国八十八ヶ所寺院等に配布されています。また、学習プログラム「観賢学習」や、eラーニングドリル学習「Kangenステップ学習」を導入し、子供たちが地域への誇りを育む取り組みが行われています。

観賢僧正御遠忌1100年

2024年は、観賢僧正の御遠忌1100年の年です。この年に合わせて、醍醐寺では初代座主である観賢の像が記念カレンダーで公開され、高野山では観賢僧正御影が奉納されるなど、各地で様々な記念事業が催されています。これらの活動は、観賢が真言宗だけでなく、地域文化においても重要な人物であることを示しています。

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