観音寺 (江南市)

観音寺の概要

愛知県江南市前野町に位置する観音寺は、臨済宗妙心寺派に属する寺院です。この寺院の山号は仏徳山と呼ばれ、本尊には地元では珍しい三面八臂羂索観世音菩薩が祀られています。また、戦国時代の武将・前野長康の菩薩所として知られ、前野氏の菩提寺でもあります。

寺院の歴史

観音寺の創建は寛延元年（1748年）に遡ります。創立当初は、徳林寺の第三世である継山全初和尚を迎えて開山されました。当時、この寺院には寺禄（寺社領）がなく、一草庵という弘法堂と呼ばれる簡素なものに過ぎませんでした。その後、徳林寺の第八世である棠應祖蘭和尚によって堂の再建が行われ、明治時代以降に本覚瑞光尼が住職となり寺運の興隆に尽力しました。その結果、観音堂は観音寺と改名され、今日に至っています。

本尊について

観音寺の本尊である三面八臂羂索観世音菩薩については、制作年や作者に関する情報は不明です。この秘仏は、手に錫杖や薬壺、蓮華、さらには綱と釣糸の羂索を持っています。末法信仰が盛んであった平安時代には、一般信徒からの深い信仰を受けていた、この古仏は古色蒼然たる存在です。なお、奈良の興福寺南円堂や東大寺三月堂にもこの観世音菩薩が安置されています。

前野将右衛門との関連

文禄四年（1595年）、秀次事件によって連座し切腹することとなった前野将右衛門長康の辞世の句と愛用の野釜を持参して帰参した前野義詮（野田清助）は、主君である長康に弔いを捧げるために、弘法堂と名付けられていたこの寺にて念仏を唱えながら生活を始めたとされています。この出来事以降、観音寺は前野氏の菩提寺としての地位を確立することとなったのです。

アクセス

観音寺へ行くには、名鉄犬山線の柏森駅で下車し、徒歩で約17分、または同駅からタクシーを利用すると約5〜6分で到着します。また、名鉄犬山線の江南駅からタクシーを利用する場合も同様に約5〜6分で辿り着けます。

関連情報

観音寺は周辺に位置する前野天満社と近接しており、訪れる際にはこの神社も見学することができます。また、観音寺本堂には前野小兵衛勝長に供養塔が建てられていることも特徴です。

観音寺は深い歴史を持ちながら、地域の信仰の中心として今日も多くの人々に支えられています。

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