観音崎公園

観音崎公園

神奈川県横須賀市、東京湾の入口に面した観音崎公園は、神奈川県が管理する広大な県立都市公園（風致公園）です。その規模は県下最大を誇ります。

この公園の歴史は、日本の近代と深く結びついています。明治期に軍の要塞として整備が始まり、太平洋戦争終結まで一般の立ち入りが厳しく制限されていました。海岸線には砲台跡など、要塞時代の遺構が今も点在しています。一般のアクセスが長らく閉ざされていたことが、この地の豊かな自然環境が保たれた要因の一つです。かつてはクロマツが主体の植生でしたが、昭和30年代の虫害でほとんどが失われ、現在では広葉樹が中心の森に覆われた丘陵地帯へと変化しています。多様な動植物が生息する自然の宝庫でもあります。

広大な園内は、訪れる人々が様々な楽しみ方ができるよう、テーマ別に以下の6つのゾーンに分けられています。

自然へのいざないゾーン
公園の情報拠点であるパークセンター（旧火薬庫を改修）や、指定エリアでバーベキューが可能な観音崎園地があります。散策のスタート地点としても利用されます。

里山体感ゾーン
自然の中での体験を重視したエリア。「ふれあいの森」での散策や、「アスレチックの森」での遊具遊びが楽しめます。ローラーすべり台や複合遊具などが人気です。「いこいの水辺」や「森のロッジ」もこのゾーンに含まれます。

草原あそびゾーン
開放的な芝生エリア。「花の広場」でのピクニックや、「うみの子とりで」での遊具遊び（シーライナー、ジェットスライダーなど）が楽しめます。

里海体感ゾーン
東京湾沿いのエリア。「展望園地」からのシップウォッチングや、「水の広場」での水辺の散策に適しています。

近代史体感ゾーン
公園の歴史を物語る遺構が多いエリア。日本最初の洋式灯台の一つである観音埼灯台や、明治期の砲台跡、海岸園地などがあります。東京湾海上交通センターのレーダー塔（非公開）もここに位置します。

文化とふれあうゾーン
公園最奥部の静かなエリア。「三軒家園地」があり、落ち着いた環境で過ごせます。

なお、観音崎公園の敷地内に隣接・所在する施設のうち、横須賀美術館や観音崎自然博物館、たたら浜園地などは、公園本体とは異なる管理主体によって運営されています（例：横須賀美術館は独自の指定管理者、たたら浜園地はPFI事業）。

園内には、第二次世界大戦で亡くなった約6万人もの日本の民間船員を追悼する「戦没船員の碑」があります。この碑は1971年、公益財団法人殉職船員顕彰会によって建立されました。その歴史的意義から、皇室による慰霊訪問も度々行われ、上皇陛下（当時は天皇陛下）は2019年までに8回ここを訪れています。碑の設計には、建築家の吉村順三氏らが関わりました。

観音崎公園は、歴史的な背景を持ちながらも、豊かな自然と多様な施設が融合した魅力的な場所です。歴史探訪、自然との触れ合い、様々なレクリエーションを楽しむことができ、年間を通じて多くの人々が訪れる横須賀市の重要な観光・憩いの拠点となっています。

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