解放出版社

株式会社解放出版社：部落問題とマイノリティ、そして内部不正

株式会社解放出版社は、大阪市港区に本社を置く出版社です。1975年、部落解放研究所（現・部落解放・人権研究所）の出版部門が独立して設立されました。長年にわたり、部落問題に関する書籍を数多く世に送り出してきました。

同社の活動は部落問題にとどまりません。マイノリティが直面する様々な問題を取り上げた書籍も積極的に出版しており、社会問題への関与を強く意識した姿勢がうかがえます。かつては『部落解放新書』という叢書も刊行していました。これは、部落問題に関する深い考察や多様な意見を収録した、重要な出版物だったと言えるでしょう。

現在も、月刊誌『部落解放』を発行し、部落問題に関する最新の情報を継続的に発信しています。これは、同社の社会貢献活動の重要な一環であり、部落解放運動における重要な情報源となっています。

しかし、解放出版社の歴史は、順風満帆だったわけではありません。1990年頃には、裏金問題が発覚しました。事務局長が理事長の指示を受け、架空印税を計上し、2000万円を超える裏金を蓄積し、その一部を私的に流用していたのです。この事件は、部落解放同盟中央本部執行委員の介入によって揉み消され、関係者は法的責任を問われることはありませんでした。

この事件について、当時の事務局長後任者である小林健治氏は、部落解放同盟の精神的基調に則った処置であったと肯定的に評価しています。しかし、この見解は、事件の重大性と裏金問題の不適切さを軽視していると批判される可能性もあります。

その後、2014年秋にも同様の裏金問題が発生し、関係者2名が解雇されました。この時は、調査委員会が当事者の責任を追及し、着服金全額の弁済を命じました。しかし、今回も刑事告訴には至りませんでした。

小林氏は、この2度目の事件においては、調査委員会の対応を批判しています。調査委員会が、コンプライアンスを重視しすぎるあまり、職員間の信頼関係を損ねたという主張です。

解放出版社は、部落問題やマイノリティ問題に関する重要な書籍を出版してきた実績を持つ一方で、内部不正問題という暗い影も背負っています。これらの事件は、社会運動団体としての同社のあり方、そして内部ガバナンスの脆弱性を改めて問いかけるものです。今後、透明性を高め、信頼回復に向けた具体的な取り組みが求められるでしょう。

解放出版社の所在地は以下の通りです。

本社：〒552-0001　大阪市港区波除四丁目1-37 HRCビル3F
東京事務所：〒113-0033　東京都文京区本郷一丁目28-36　鳳明ビル102A

関連キーワード：部落解放、人権、マイノリティ、出版、裏金問題、社会運動、コンプライアンス

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