解状

解状（げじょう）について

解状、または解文（げぶみ）とは、平安時代から中世初期にかけて、下級身分の者が上級身分の人々に上申するために用いられた文書の様式を指します。この文書は、元々は公式令に規定された「解」という書式に基づいていますが、次第に時代の変化とともにその形が発展し、さまざまな文書として利用されるようになりました。

解状の概要

平安時代に入ると、官庁や庶民、寺社が、朝廷や貴族に対して上申を行う際にこの「解」という文書様式が広く使われるようになりました。元々の解に従った文書様式だけでなく、時には官人個人やそれ以外の所層からの上申文も登場しました。そのため、本来の解とこれらの新たな上申文を区別するために、解状や解文という用語が使われるようになったのです。

基本的な書式

解状の基本的な書式は、「某解 申……事」という形から始まり、以降に「以解」といった文言で締めくくり、最後に、改行して年月日と上申者の官位、氏名を記載するという流れが一般的でした。この書式はほとんどの解状や解文に共通しています。

重要性と使用例

特に地方の国司（受領）が中央政府に対して発行する解状は、地方行政における中央の決定を求める重要な文書でした。この文書は、天皇の勅裁や太政官の官裁を必要とし、行政の管理において非常に重要な役割を果たしました。また、官位の申請、非法の糾弾、訴訟の提起などの目的にも用いられていました。中でも、『尾張国郡司百姓等解文』は特に有名で、尾張の住民が国司を訴えた内容が含まれています。

中世への移行

中世に入ると、文書のスタイルが細かく分かれるようになり、「申状（申文）」、「愁状（愁文）」、「訴状」など、より具体的な目的に応じた名称が使われるようになりました。これに伴い、解状や解文という用語の使用頻度は次第に減少していきました。このように、解状は時代の中で重要な役割を担いつつ、その形式や呼称が変化していったことがわかります。

参考文献

• - 義江彰夫『国史大辞典 5』(吉川弘文館、1985年)
• - 富田正弘『平安時代史事典』(角川書店、1994年)

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