触角式銅剣

触角式銅剣について

触角式銅剣（しょっかくしきどうけん）は、青銅器の一タイプであり、主に朝鮮半島や日本列島、満洲地方で発見されています。この銅剣の中でも、有柄式に分類されるもので、青銅器文化の中で特に重要な位置を占めています。

この銅剣の最古の発見例は、中国吉林省から出土しており、初期にはオルドス青銅器文化からの強い影響を受けた形で製作されていました。その後、琵琶形銅剣や細形銅剣といった他の青銅器のスタイルに影響を受けながら、独自の特徴を持つ銅剣へと発展していきました。

1912年から1940年代にかけて、平壌や対馬、九州といった地域で多くの触角式銅剣が発見され、その後も1950年代から2020年にかけて日本、中国、韓国で続々と出土が報告され、全体で約40例が確認されています。触角式銅剣は、触角の形状がハルシュタット式に似ていること、動物の形態がオルドス式に由来すること、刃の部分が遼寧式のデザインを取り入れていることが特徴です。また、柄の頭部には鳥を模した装飾が施されている場合が多いです。

特に興味深いのは、1912年頃に佐賀県唐津市柏崎で発見された雙鳥形触角式銅剣です。この出土品は、触角式銅剣のデザインの一例として貴重です。また、対馬におけるサカドウ遺跡やタカマツノダン遺跡でも、1953年と1954年に触角式銅剣が出土し、これらの地域での青銅器文化の広がりを示しています。

さらに、2013年には滋賀県高島市の上御殿遺跡で、柄頭に環を持つ短剣の鋳型が見つかり、これが触角式銅剣との関連性についての新たな議論を生んでいます。このように、触角式銅剣はただの武器としてだけではなく、当時の人々の文化や信仰が反映された重要な考古学的資料となっています。

関連項目

• - 銅剣
• - 細形銅剣
• - 琵琶形銅剣
• - オルドス青銅器文化
• - 桃氏剣

触角式銅剣が持つ多様なデザインやその出土状況は、古代の人々の生活や文化を知る手がかりを与えてくれます。これらの研究が進むことで、さらに私たちの理解が深まることでしょう。

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