細形銅剣

細形銅剣（ほそがたどうけん）

細形銅剣は、青銅器の一種で、有茎式の銅剣です。別名、韓国式銅剣とも呼ばれます。この銅剣は、朝鮮半島を中心に、日本列島や沿海州といった広範囲に分布しており、紀元前1500年から紀元前後の初期鉄器時代を代表する遺物の一つとされています。

分布地域

日本列島では、特に九州北部に多く出土しており、これまでに194本が確認されています。都道府県別に見ると、福岡県が80本と最も多く、次いで佐賀県が41本、長崎県が24本となっています。その他、愛媛県、山口県、香川県、岡山県、大分県などでも発見されており、その分布は広範囲に及んでいます。主な遺跡としては、原の辻遺跡、吉野ヶ里[[遺跡]]、吉武高木遺跡などが挙げられます。

朝鮮半島では、単独での出土数が300本を優に超えており、日本よりもさらに多く発見されています。また、平壌市楽浪区域貞栢洞夫祖薉君墓や平壌市楽浪区域石厳里などの遺跡からは、細形銅剣と伴って小銅鐸が出土している例も確認されています。これらの発見は、当時の社会や文化を理解する上で重要な情報を提供しています。

鋳型の出土地

細形銅剣の鋳型は、その製作技術を知る上で非常に重要です。日本では、吉野ヶ里[[遺跡]]の北墳丘墓西側から、朝鮮半島で主に使われていた石材に類似した蛇紋岩製と角閃石岩製の鋳型が発見されました。これは、当時の技術交流や文化的なつながりを示すものとして注目されています。

朝鮮半島では、平壌市大同郡栗里面将泉里や京畿道龍仁郡慕賢面草芙里で滑石製の銅剣鎔笵が発見されています。これらの鋳型は、当時の金属加工技術の高さを物語っています。

細形銅剣の特徴

細形銅剣は、その名の通り、細長い形状が特徴です。これは、琵琶形銅剣や触角式銅剣といった他の銅剣とは異なる特徴であり、それぞれの地域や文化における技術的な違いを表しています。また、細形銅剣は、その形態から武器としてだけでなく、祭祀や儀礼にも使用されたと考えられています。

まとめ

細形銅剣は、紀元前1500年から紀元前後の初期鉄器時代を代表する青銅器であり、朝鮮半島を中心に日本列島や沿海州に広く分布しています。その出土状況や鋳型の発見は、当時の社会や文化、技術交流を理解する上で非常に重要です。また、細形銅剣は、その独特な形状から、単なる武器としてだけでなく、祭祀や儀礼にも用いられたと考えられており、古代社会を解明する上で貴重な遺物と言えるでしょう。

参考資料

各遺跡の発掘調査報告書
各博物館の展示解説
考古学関連書籍

関連項目

銅剣
琵琶形銅剣
触角式銅剣
桃氏剣
石剣

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