言葉にできない

オフコース「言葉にできない / 君におくる歌」：時代を超えて愛される名曲の魅力

1982年2月1日にリリースされたオフコース通算23枚目のシングル「言葉にできない / 君におくる歌」。両曲ともアルバム『over』からのシングルカットであり、収録内容はアルバムと同一です。オフコースの代表曲として、多くの人に愛され続けています。

「言葉にできない」：感情が爆発する圧巻のライブパフォーマンス

「言葉にできない」は、小田和正が涙で声を詰まらせ、歌えなくなることがあったというエピソードで知られています。特に有名なのは、「Off course Concert 1982 “over”」の最終公演地である日本武道館での10日間連続公演最終日（6月30日）と、1989年2月26日に東京ドームで行われた“The Night with Us”での出来事です。

“over”ツアーの武道館公演では、曲の後半部分で映画『ひまわり』の一面に広がるひまわり畑のシーンがスクリーンに映し出されました。小田和正は、この演出について「まさに言葉にできないほどの、圧倒的な花の映像が欲しかったので、映画の版権の一部を買い取って武道館一面、ひまわりで埋めたんだ」と語っています。

また、フェードアウト直前には解散を示唆する「We are over,thank you」のナレーションが収録されており、武道館公演ではひまわり畑のシーンに、ライブ前に発売されたアルバム『We are』、『over』、『I love you』のタイトルが投影されました。

「言葉にできない」制作秘話：シンプルさの中に宿る力強さ

小田和正は、楽曲の制作過程について『たしかなこと』でのインタビューで以下のように語っています。

アルバム制作中に「もう1曲核になる曲が欲しい」と思い、メンバーが帰った後、渋谷の『マック・スタジオ』に一人残って制作に取り掛かった。
当初から“ラララ”でいくというアイデアがあり、歌詞がない方が強いのではないかとも考えた。歌詞を書くのが嫌だという気持ちが、歌詞がない方が良いという考えに繋がった。
循環コードを弾きながら“ラララ”と歌い、メロディを少しずつ修正していった。“ラララ”の後に「言葉にできない」と「悲しくて」のどちらが先にできたかは覚えていないが、この2つが最初にできたブロックである。
「言葉にできない」という歌詞と“ラララ”は非常に相性が良く、「悲しくて」だけでなく「悔しくて」も「言葉にできない」や“ラララ”と調和する。
* 暗いまま終わるのは避けたかったため、「嬉しくて言葉にできない」というフレーズを追加し、曲を締めくくった。

「君におくる歌」：オフコースへの別れを歌った曲？

「君におくる歌」は、後に鈴木康博がアルバム『FORWARD』でセルフカバーしています。鈴木康博自身は、この曲について「オフコースへの別れを歌った曲」だと語っていますが、小田和正は「曲として成立していれば、それで構わないと思う」とコメントしています。

幅広いメディアで使用された楽曲

「言葉にできない」は、1999年に明治生命保険のCMソングとして小田和正自身がセルフカバーし、アルバム『LOOKING BACK 2』に収録されました。ソロ以降もコンサートで頻繁に歌われ、重要なレパートリーの一つとなっています。2014年1月には、日本レコード協会によってフル配信50万ダウンロードに認定されました。

2003年には、テレビ東京系アニメ『ソニックX』の挿入歌として使用され、2016年にはテレビ東京系アニメ『プリパラ』の挿入歌としても起用されています。

また、2014年7月1日より、金沢シーサイドラインの鳥浜駅、並木中央駅、八景島駅、金沢八景駅で接近・発車メロディとして使用されています。

オフコースの「言葉にできない / 君におくる歌」は、時代を超えて多くの人々の心に響く名曲です。その美しいメロディと歌詞、そして感情を揺さぶるライブパフォーマンスは、これからも長く愛され続けるでしょう。

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