計器飛行とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

計器飛行とは

計器飛行とは、航空機の姿勢、高度、位置、および針路の測定を、航空計器のみに依存して行う飛行のことです。航空管制の誘導を受けずに、パイロットが計器だけを頼りに航空機を操縦する点が特徴です。

日本の航空法第93条では、地上の目標物を確認できる有視界飛行が可能な状況下では、原則として計器飛行は許可されていません。ただし、これは「計器のみに依存した飛行をしてはならない」という意味であり、計器を補助的に参照することまでを制限するものではありません。

窓の外を肉眼で確認することを主体としつつ、必要に応じて計器を参照する飛行は「コンポジット・フライト」と呼ばれます。有視界飛行においては、むしろコンポジット・フライトが推奨されています。

日本の航空法では、計器飛行と計器飛行方式は明確に区別されています。計器気象状態（IMC）下では計器飛行方式による飛行が義務付けられていますが、IMCでは地上の目標物を利用できないため、計器飛行が唯一の手段となります。計器飛行は、計器飛行方式を安全に行うための基本的な操縦技術と言えるでしょう。

「計器航法による飛行」とは、計器飛行以外の航空機の位置および針路の測定を計器のみに依存して行う飛行を指します。計器飛行が航空機の姿勢制御を含む包括的な概念であるのに対し、計器航法は位置や針路の特定に特化したものと言えます。

計器飛行、計器航法による一定時間・距離を超える飛行、計器飛行方式による飛行を行うためには、原則として計器飛行証明が必要です。ただし、定期運送用操縦士および准定期運送用操縦士は、資格取得の過程で計器飛行に関する訓練を受けているため、別途計器飛行証明を取得する必要はありません。