定期運送用操縦士

定期運送用操縦士（ATPL）について

定期運送用操縦士（Airline Transport Pilot Licence、略称：ATPL）は、航空従事者国家資格の一つで、国土交通省が管轄しています。この資格は、国内線や国際線の定期航空路を飛行する航空機を機長として操縦する際に必要となる、操縦士資格の最上位に位置づけられるものです。

概要

航空法において、定期運送用操縦士の業務範囲は、航空運送事業で使用する航空機の機長として、また、航空機の操縦を行うことと定められています。ただし、軽量機を除く航空運送事業の機長として乗務するには、定期運送用操縦士の免許だけでなく、機長としての認定も必要です。

航空機は、飛行機、回転翼航空機、飛行船の3種類に分類され、エンジンの形式や数などの等級、型式についての限定は、自家用操縦士や事業用操縦士と同様です。しかし、定期運送用操縦士免許には、自家用・事業用操縦士免許とは異なり、計器飛行や計器飛行方式による飛行を行うために必要な「計器飛行証明」の内容が含まれています。また、無線通信を行うためには、航空無線通信士の資格が必須となります。

国家試験

国家試験は年に3回実施され、国土交通省が管轄しています。受験には、21歳以上の年齢制限に加え、一定の飛行経歴が必要です。また、身体的な条件として、事業用操縦士と同じ「第一種航空身体検査証明」が必要です。この証明には有効期間があり、6ヶ月または1年ごとに更新が必要となります。現役のパイロットであっても、この身体検査に合格し、証明書を継続して取得できなければ、定期運送用操縦士の免許は停止され、「自家用操縦士」に降格されます（この場合、航空業務を行うことはできません）。

試験科目

試験科目は、学科試験と実技試験に分かれています。

学科試験

航空工学
航空気象
空中航法
航空通信
航空法規（国内・国際）

実技試験

運航知識
飛行前作業
飛行場等の運航
離陸・着陸、緊急時操作・連携、連絡
総合能力等

その他

定期運送用操縦士の資格は、航空業界で最も高度な専門性と責任が求められる資格の一つです。この資格を持つ操縦士は、航空機の安全運航において重要な役割を担い、乗客や貨物を安全に目的地まで送り届けるという使命を負っています。

関連情報

機長
副操縦士
操縦士
自家用操縦士
事業用操縦士
准定期運送用操縦士
* パイロットになるには - 国土交通省

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