計量研究所

計量研究所について

計量研究所（National Research Laboratory of Metrology; NRLM）は、日本の計量・計測分野における国立研究所でした。1903年に農商務省の中央度量衡器検定所として発足し、その後、中央計量検定所を経て、1961年に計量研究所となりました。

歴史

研究所の歴史は、日本の近代化と共に歩んできました。当初は度量衡の検定を主な業務としていましたが、時代の変遷とともに計量標準の研究へと発展していきました。組織の変遷としては、農商務省から商工省、通商産業省へと所管が移り、1979年には東京都板橋区から茨城県つくば市に移転しました。

2001年の中央省庁再編に伴い、通商産業省工業技術院が廃止され、計量研究所は産業技術総合研究所に統合されました。この際、計量標準に関する研究と業務は、産業技術総合研究所計量標準総合センター（National Metrology Institute of Japan; NMIJ）が引き継ぐことになりました。計量標準総合センターには、計量研究所の他にも計量教習所や電子技術総合研究所標準部、物質工学工業技術研究所標準部が統合されました。

2015年には、産業技術総合研究所が国立研究開発法人となり、計量標準総合センターは計測標準研究部門を工学、物理、物質、分析の4部門に分割し、より専門的な研究体制を構築しました。現在の計量標準総合センターは、これらの研究部門に加え、計量標準普及センター、研究企画室、連携推進室を擁する組織として活動しています。

主な業務

計量研究所は、その歴史の中で、日本の計量標準の確立と維持に重要な役割を果たしてきました。研究活動としては、長さ、質量、時間、温度、電気、光など、様々な物理量の計測標準に関する研究開発を行ってきました。これらの研究成果は、日本の産業技術の発展に大きく貢献しました。

刊行物

計量研究所は、その活動を記録として残すため、様々な刊行物を発行してきました。以下に主なものを紹介します。

• - 『大日本帝国度量衡原器及度量衡器概覧』（1915年）：度量衡器の概要をまとめた図書です。
• - 『度量衡原器及副原器の説明』（1919年）：度量衡の原器と副原器について解説した図書です。
• - 『世界ノ度量衡』（1931年）：世界の度量衡制度について解説した図書です。
• - 『工業技術院中央計量検定所創立50周年記念論文集』（1958年）：創立50周年を記念して発表された論文集です。
• - 『工業技術院中央計量検定所五十年史』（1961年）：研究所の50年の歴史をまとめたものです。
• - 『度量衡の歴史』（1961年）：度量衡の歴史を概観した図書です。

これらの図書の他に、以下のような報告書や年報も発行していました。

• - 『中央度量衡検定所報告』（1912年-1925年）
• - 『度量衡年報』（1926年-1937年）
• - 『中央計量検定所報告』（1951年-1961年）
• - 『計量研究所年報』（1952年-1963年）
• - 『中央計量検定所調査報告』（1956年-1961年）
• - 『計量研究所報告』（1961年-2000年）

これらの刊行物は、計量研究所の活動の足跡を今に伝える貴重な資料となっています。

後継組織

計量研究所の活動は、産業技術総合研究所計量標準総合センターに引き継がれています。同センターは、計量研究所の歴史と実績を基盤として、日本の計量標準をさらに発展させるための研究開発に取り組んでいます。

• - 『産総研計量標準報告』（2004年）

関連人物

計量研究所の歴史の中で、多くの研究者が活躍しました。その中でも特に著名な人物として、以下の方々が挙げられます。

• - 飯塚幸三
• - 臼田孝
• - 小泉袈裟勝
• - 高田誠二
• - 矢野宏

関連項目

計量研究所は、各国の計量標準機関とも連携を取りながら活動していました。以下に主な機関を挙げます。

• - アメリカ国立標準技術研究所（NIST）
• - イギリス国立物理学研究所（NPL）
• - タイ国家計量標準機関（NIMT）

計量研究所は、日本の計量・計測分野の発展に多大な貢献をしてきた重要な機関でした。その活動は、現在の計量標準総合センターに引き継がれ、日本の産業技術を支え続けています。

もう一度検索