記者たち 衝撃と畏怖の真実

映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』

『記者たち 衝撃と畏怖の真実』（原題：Shock and Awe）は、2017年に公開されたアメリカの映画で、2003年のイラク戦争を背景に、米国における報道の自由とメディアの責任を問う物語です。本作は、イラク開戦を巡る「大量破壊兵器」の情報捏造問題を、実際の出来事を基に描いています。監督はロブ・ライナーで、彼自身も俳優として出演しており、主演にはジェームズ・マースデンとウディ・ハレルソンが名を連ねています。また、ミラ・ジョヴォヴィッチやトミー・リー・ジョーンズなど、多彩なキャストが共演しています。日本では2019年に公開され、日本語字幕は齋藤敦子が担当し、池上彰が監修を手掛けました。

ストーリーの背景

物語は、2001年9月11日の同時多発テロ事件を契機として始まります。この事件後、アメリカの政治は大きく変わり、特にジョージ・W・ブッシュ政権下では反テロ戦争の名のもとにイラクへの攻撃が計画されていました。ウォルコット局長は、ナイト・リッダー社の記者を国務省に派遣し、アフガニスタンではなくイラクへの出兵を政府高官が画策していることを探り出しました。しかし、その情報源は不明であり、捏造報道の可能性も指摘されます。こうした状況の中、愛国心が高まり、小学校では愛国教育が行われる一方で、反米思想を持つ人々は危機感を抱いていました。

政治とメディアの交錯

映画の中では、2002年1月29日のブッシュ大統領の一般教書演説が重要な節目となります。この演説でブッシュ大統領は、北朝鮮、イラン、イラクを「悪の枢軸」と呼び、イラクが大量破壊兵器を保有しテロを支援していると主張しました。メディアはこの主張を受け入れ、多くのメディアがイラクへの軍事介入を支持するジャーナリズムとしての流れが現れました。この中で、ウィール・ストロベルとジョナサン・ランデーという記者が登場し、政府の発言を真実を求めて問い直す姿が描かれます。

捏造報道の影響

ストロベルとランデーは、政府関係者と名乗る不審な女性の接触を受け、政府の主張に疑問を持つようになります。特に、ニューヨーク・タイムズが米軍が大量破壊兵器を発見したと報じた際には、メディアが政府の情報に迎合している様子が強調され、ウォルコットは部下たちを鼓舞し真実を求める姿勢を示します。

結末と批判

2003年3月にアメリカがイラクとの戦争を始めると、開戦は米国の勝利につながるが、後にフセインが大量破壊兵器の存在を否定する発言をするなど、当初の主張が根底から覆されることとなります。この映画は、報道の自由やジャーナリストの使命感を問う一方で、自らの立場に対する批判も含んでいるため、賛否が分かれる作品となりました。

評価

『記者たち 衝撃と畏怖の真実』は、Rotten Tomatoesで批評家支持率が30%、Metacriticで加重平均値が45/100と評価が低いものの、多くの重要なテーマを抱えた作品として位置づけられています。映画には、当時のリアルな映像や取材を通じて、ジャーナリズムがどのように政治と絡み合うのかが問いかけられています。

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