設計数量

建設工事における数量算出とBOQ：詳細解説

1. 設計数量とBOQの基礎

建設工事において、設計数量（契約数量）は、工事の積算設計や入札時に使用される数量です。一方、BOQ（Bill of Quantities）は、建設工事の数量を詳細に記述した文書、あるいは数量表を指します。製造業では製品原価や生産計画に用いられますが、建設業界では国際入札で広く使われ、工事内容、材料、労働時間などの数量と単価を明記することで、入札者による正確な見積もりを可能にします。日本の建設工事では、総価契約が一般的ですが、国際的な契約では、BOQに基づく単価契約で月次出来高払いが行われるケースもあります。正確な数量算出には、完成した設計図書と仕様書が不可欠です。BOQは入札参加者にとって、工事費用の算出に役立つ重要な資料であり、公平な競争を促進する役割を果たします。

2. 数量算出のプロセスと歴史

歴史的には、建設費の見積もりは、発注者から入札者へ設計図書を提供する形で開始され、数量は積算担当者などが算出していました。BOQの活用は、この数量算出作業を専門化し、効率化することに貢献しました。国際的な建設工事では、COBRA（Construction Bill of Quantities Reference Agreement）などの基準書が用いられ、インフレの影響を考慮した価格改訂が頻繁に行われています。BOQには、要素別明細書（Elemental BOQ）や工種別明細書（Trade Bills）など、様々なスタイルが存在します。

3. 日本の数量算出基準

日本の土木工事では、「土木工事数量算出要領」（国土交通省）が基準として用いられ、都道府県レベルでも同様の基準が策定されています。建築工事では「建築数量積算基準」が、積算における数量算出方法を規定する重要な基準です。これは、昭和30年代以降の建築産業の成長に伴い、発注者と受注者間の紛争を減らすために、英国のSMM（Standard Method of Measurement of Building Works）を参考に官民合同で作成されました。この基準は、社会状況の変化に合わせて定期的に改訂され、新築工事だけでなく改修工事にも適用できるようになっています。設備工事については「公共建築設備数量積算基準」が用いられます。

設計数量、計画数量、所要数量

建築数量積算基準では、「設計数量」、「計画数量」、「所要数量」の3つの数量が定義されています。設計数量は設計図書から算出される数量、計画数量は施工計画に基づく数量、所要数量は施工上のロスなどを含めた数量です。材料のロスを考慮するために、設計数量に割増率をかけたものが所要数量となります。鉄筋、鉄骨、木材など規格寸法のある材料では、加工ロスを考慮した割増率が設定されています。ただし、材料の種類や形状によって、割増率は異なります。例えば、長尺の鉄筋や広幅の鋼材は、ロスが少ないため、割増率が低くなります。

4. BOQの変更管理

BOQには、契約後に発生する予期せぬコスト（偶発債務）を考慮する項目が含まれています。これは、既存サービスの変更や追加作業などに対応するものです。これらの変更は、顧客側の担当者や請負業者側の積算担当者によって算出されます。追加要件は部品表（BOM）で管理され、工事や製造原価の算出に利用されます。BOMに基づけば、材料費を算出できますが、人件費は業種や生産方式によって算出方法が異なります。建設業のような個別受注生産の場合は、BOQを活用して作業時間を算出し、材料量と合わせて合計費用を算出します。

5. BOQと原価管理

BOQは、工事や製品の原価管理において重要な役割を果たします。すべての費用が考慮され、透明性が確保されます。情報不足の場合、スケジュールや既知のレートに基づいて暫定的に算出されますが、これは契約に依存します。BOQは、発注から完了まで、そしてそれ以降も、原価計算の全段階をカバーします。現代の原価管理では、期間と進捗に基づいた管理や、製品ライフサイクルマネジメント（PLM）などの概念も用いられています。

関連項目

BOM (部品表)
建設費
建設業会計
積算コンサルタント

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