許仕達

許仕達（きょ したつ）

許仕達は、明代中期に活躍した官僚です。字を延佐といい、徽州府歙県（現在の安徽省黄山市歙県）の出身です。彼は、その清廉な人柄と卓越した行政能力で知られ、民衆からの信頼も厚かった人物です。

生涯

許仕達は、正統10年（1445年）に進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。正統12年（1447年）には、早くも江西道監察御史に抜擢され、その才能を発揮し始めます。

景泰元年（1450年）には、各地で災害が頻発していた状況を憂い、時の皇帝である景泰帝に対して、自らの行いを反省し改善するよう諫める上疏を行いました。この上疏は景泰帝に受け入れられ、彼はその後、御前で経学の講義を延長し、儒臣たちに経史を講論させるよう進言しました。彼の進言は、学問の振興と官僚の質の向上を目指すものでした。

景泰2年（1451年）、許仕達は福建巡按に任じられ、福建に駐屯していた宦官の廖秀が不正を行っていることを突き止め、これを弾劾しました。景泰帝は廖秀を投獄しましたが、廖秀は許仕達を告発し、事態は複雑化しました。景泰帝は鎮守侍郎の薛希璉らに取り調べを命じましたが、許仕達は薛希璉の貪婪放縦な行いを指摘し、さらに問題を大きくしました。最終的に、曹凱と御史の王豪がこの件を取り調べた結果、双方の主張には嘘と真実が混在していることが判明しました。この混乱の中、福建の老人たちが数千人も集まり、許仕達の留任を求める請願を行いました。さらに、給事中の林聡も許仕達を擁護したため、景泰帝は許仕達に留任を命じ、薛希璉には争いをやめるよう命じました。この一件は、許仕達が民衆からいかに信頼されていたかを示す出来事と言えるでしょう。

景泰4年（1453年）、許仕達は風紀を厳しく取り締まり、漳州府知府の馬嗣宗を捕らえて北京に護送しました。大理寺は許仕達の専断を弾劾しましたが、景泰帝はこれを不問としました。任期を終える際にも、福建の老人たちは再び北京の宮殿を訪れ、許仕達の留任を求めましたが、これは叶いませんでした。その後、許仕達は福建左参政に任命されました。

天順年間には、山東や貴州の左右の布政使を歴任し、各地でその行政手腕を発揮しました。彼の晩年については記録が残っておらず、詳細は不明です。


許仕達は、その生涯を通じて、不正を許さず、民衆のために尽くした官僚でした。彼の行動は、後世の官僚たちにとって模範となるものであり、その功績は長く語り継がれるべきでしょう。

脚注

参考文献

* 『明史』巻164 列伝第52

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