曹凱

曹凱（そう がい）は、明代に活躍した官僚で、字は宗元、本貫は青州府益都県です。1413年に生まれましたが、没年は不明です。

生涯

1445年（正統10年）、曹凱は進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。1448年（正統13年）には、刑科給事中に任じられ、その職務において頭角を現します。1449年（正統14年）7月、英宗が北方民族への親征を計画した際、曹凱はこれに強く反対しましたが、英宗は聞き入れませんでした。その結果、8月に土木の変が起こり、英宗がオイラトに捕らえられるという大事件が発生しました。

この時、曹凱は北京の宮城で号泣し、王竑ら多くの官僚と共に、この事態を招いた元凶の一人である宦官・王振の仲間であった錦衣衛指揮同知の馬順を糾弾し、憤怒のあまり殴打して死に至らしめました。この事件は、当時の官僚たちの動揺と怒りを象徴する出来事でした。

景泰年間に入ると、曹凱は刑科左給事中に昇進しました。1453年（景泰4年）には、給事中の林聡が何文淵と周旋の不正を弾劾しましたが、景泰帝は二人を許そうとしました。しかし、曹凱はこれに強く反対し、二人は法吏に引き渡されました。また、当時、4000石以上の豆を輸送した者に指揮の官職を与える制度がありましたが、曹凱はこの制度による文官職との二重給与を問題視し、廃止を求めました。景泰帝は曹凱の意見を容れ、既に任官している者は元の通りとしましたが、今後の授任者については曹凱の意見通りとする決定を下しました。

その後、曹凱は福建巡按の許仕達と侍郎の薛希璉が互いを告発し合う事件の調査を命じられました。その調査能力が認められ、曹凱は浙江右参政に抜擢されました。当時、諸衛の武官で、軍役の代わりに月銭を納める者が4500人以上に達していましたが、曹凱はこれを禁止するよう訴えました。また、鎮守都督の李信が独断で民を徴兵して軍を編成し、軍用の食糧を大量に消費した際には、曹凱はこれを弾劾する上奏を行いました。李信自身は許されましたが、彼を補佐して徴兵に関わった者は処罰されました。

浙江に数年間滞在した曹凱は、その公正な姿勢と優れた行政手腕から、非常に高い評判を得ました。しかし、以前、給事中であった時に、武清侯の石亨をたびたび弾劾していたことが、彼の運命を大きく変えることになります。天順初年に、石亨が権力を握ると、過去の恨みを晴らすために、曹凱を衛経歴に左遷しました。この左遷は、曹凱の功績を考えると非常に不当なものでした。

その後、曹凱は南康府知府に抜擢され、後に贛州府知府に転任しました。1468年（成化4年）には、府学を景徳寺に移築しています。曹凱の晩年については、詳しい記録は残されていません。

曹凱は、その生涯を通じて、不正を憎み、正義を貫こうとする強い意志を持った官僚でした。土木の変における行動や、不正を糾弾する姿勢は、彼の剛直な性格を如実に表しています。しかし、権力者の報復によって不遇をかこったことは、当時の政治状況の厳しさを物語っています。

曹凱の生涯は、明代の官僚社会における権力闘争と、その中で信念を貫き通そうとした一人の官僚の姿を、現代に伝える貴重な歴史の一コマと言えるでしょう。

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