許其亮

許其亮（きょ きりょう、シュー・チーリャン）は、1950年3月29日に生を受け、中華人民共和国の軍人としてその生涯を全うしました。彼は中国人民解放軍空軍において最高位の一つである上将の階級に昇り詰め、党および国家の中央軍事委員会副主席、さらには中国共産党中央政治局委員を歴任するなど、中国の軍事体制において極めて重要な役割を担いました。

彼の軍歴は1966年に始まりました。空軍第1航空予備学校に入学し、未来の空を担うパイロットとしての基礎訓練を受けました。翌1967年7月には中国共産党への入党を果たし、政治的な信念を固めつつ軍人としての道を歩み始めます。その後、空軍第8航空学校および第五航空学校での学びを経て、1969年8月に課程を修了。卒業後は直ちに空軍のパイロットとして第一線での勤務を開始しました。

キャリアを積むにつれて、許其亮氏は徐々に指揮官としての頭角を現していきます。1983年には部隊を率いる師長に任命され、続いて1984年には副軍長のポストに就任しました。1985年には空軍上海指揮所の参謀長を務める傍ら、国防大学での研修に参加し、より高度な戦略や運用に関する知見を深めました。1991年には空軍の軍長に昇任すると同時に、少将の階級を授与されました。その後も昇進は続き、1993年には空軍副参謀長となり、再び国防大学で研鑽を積んでいます。翌1994年には空軍参謀長に就任し、空軍における作戦・運用の中枢を担う責任者となりました。1996年には中将へと階級が上がりました。

1999年、彼は広範な地域を管轄する瀋陽軍区の副司令員を兼務しつつ、同軍区の空軍司令員に就任しました。この間、2001年には三度目となる国防大学での研修を受けています。2004年には中国人民解放軍の副総参謀長という要職に抜擢され、全軍の運用計画に関わる立場となりました。そして、2007年6月20日、軍人としての最高階級の一つである空軍上将へと昇任を果たしました。同年9月には、中国空軍のトップである空軍司令員に任命され、名実ともに空軍の最高指揮官となりました。この時期には、国際連合の枠組みで行われた軍事演習において、中国軍部隊の指揮官を務めるなど、国際的な舞台でも活躍しました。

彼のキャリアにおける政治的な地位も高まっていきます。2008年3月16日、第11期全国人民代表大会の最初の会議において、中華人民共和国中央軍事委員会の委員に選出されました。さらに、2012年11月に開催された第17期中央委員会第7回全体会議では、党中央軍事委員会の副主席に初めて選出されました。そして、同月15日の第18期中央委員会第1回全体会議において、中国共産党中央政治局委員という党の最高指導部の一員となると同時に、党中央軍事委員会副主席に再選され、その地位を確固たるものとしました。翌2013年3月15日には、第12期全国人民代表大会第1回会議において、中華人民共和国中央軍事委員会の副主席にも選出され、党と国家双方における軍事の最高意思決定機関で指導的な立場に就きました。

中国共産党における彼のキャリアは長く、第15期中央委員会の候補委員を務めた後、第16期、第17期、そして第18期の中央委員を連続して務めました。特に第18期および第19期においては、党の中枢である中央政治局の委員として、国の重要政策決定に関与しました。

許其亮氏は2025年6月2日、北京において病のため逝去しました。享年75歳でした。パイロットとしてキャリアをスタートし、空軍の各級指揮官、全軍の要職、そして党および国家の中央軍事委員会の副主席に至るまで、彼の軍歴は中国人民解放軍、特に空軍の発展と現代化の歩みと深く結びついています。長年にわたり軍事の最高レベルで指導力を発揮し、中国の国防力強化に貢献した人物として記憶されています。

もう一度検索