訴訟終了宣言
訴訟終了宣言
概要
訴訟終了宣言（そしょうしゅうりょうせんげん）は、裁判所が訴訟が終了しているかどうかに関して判断した結果を示す宣言です。この制度は、民事裁判および刑事裁判のいずれにも適用されますが、具体的な法令に裏付けはなく、裁判実務の中で運用が定着しています。
民事裁判における訴訟終了宣言
民事裁判では、訴訟の終了原因として、訴えの取下げや請求の放棄、裁判上の和解があります（民事訴訟法第262条、第267条）。しかし、これらの原因が錯誤や詐欺によって成立したと一方の当事者が主張することもあります。その場合、効力を争う側は訴訟の終了原因の無効を争うために期日指定の申立て（同法第93条第1項）を行うことができます。この申立てを受けた裁判所は口頭弁論を開いて審理することが求められます。
訴訟の途中で当事者が死亡した場合、または訴訟手続きに脱漏があった場合（同法第258条）、裁判所は訴訟を終了させる必要が生じることがあります。その際、裁判所は必要に応じて訴訟終了宣言を行います。
上訴に関する取り扱い
民事裁判では、訴訟終了宣言は判決によって行われることが通常です。このため、その判決に対して不服がある場合、当事者は上訴することができます。上訴審で原審の判断が適切であるとされれば、上訴は棄却されますが、逆に原審の判断が妥当でなければ、原則として原審に差し戻されることとなります。
訴訟終了宣言判決の具体例
訴訟終了宣言判決の例としては、生活保護に関する朝日訴訟があります。ここでは、受給権を巡る争いで原告が死亡し、そのために訴訟終了宣言が行われました。また、離婚請求訴訟において請求の放棄が有効か否かが争われた最高裁の事例もあります。
刑事裁判における訴訟終了宣言
刑事裁判では、被告が上訴を取下げた際、その効力が争われることがあります。上訴の取下げは、判決を確定させる効果があるため、被告がその意味を理解していなかったり、精神的な問題が影響していた場合に、上訴の取下げが無効であると主張することがあります。これに対して、裁判所は実務の中で取下げの効力についての判断を行い、取下げが無効と判断した場合には上訴審の審理が再開され、取下げが有効と判断された場合には訴訟終了宣言がなされます。
訴訟終了宣言決定の具体例
例として、ピアノ騒音殺人事件では、被告の控訴の取下げが有効とされ、訴訟終了宣言が行われました。また、藤沢市の母娘殺害事件においては、重圧を逃れるための控訴取下げが真意に基づくものと判断され、訴訟終了宣言がなされました。
参考文献
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