試みられた起爆空間

試みられた起爆空間

試みられた起爆空間（こころみられたきばくくうかん）は、1966年に建設された特異な個人住宅です。この建物は、著名な都市計画家である林泰義と建築家の富田玲子の夫妻によって設計され、東京都世田谷区岡本に位置していました。しかし、1985年に解体されてしまい、現在はその姿を見ることはできません。

この住宅の形状はユニークで、立方体に近い構造を持っています。特に注目すべきは、四面の壁に配置された多くの丸い窓です。それぞれの面に縦横に5個ずつ、合計で100個の窓が設けられ、そのため「百窓」と呼ばれることもあります。その形状から「百目」と称されることもあり、居住者のイニシャルを取って「M氏邸」としても知られていました。

内部は三層構造で、一部は吹き抜けになっており、中心には螺旋階段が設置されていました。このような設計は、居住者に開放感や独特の居住空間を提供していたことでしょう。

大衆文化における起爆空間

起爆空間は、そのユニークさから多くのメディアにも取り上げられました。近隣には、東宝スタジオや円谷プロダクション、国際放映といった撮影所があり、この建物は多くの映画やテレビ番組のロケ地として使われることになりました。

特に有名なのは、1967年に放映された『ウルトラセブン』の第12話「遊星より愛をこめて」で、ここがスペル星人の基地として使用されたシーンです。この作品は当時大きな人気を集めており、起爆空間もその一部として知られることになりました。さらに、九重佑三子が主演を務めた第1期『コメットさん』（1967年 - 1968年）でもロケ地として登場しました。

他にも、『チビラくん』（1970年 - 1971年）では、主人公である怪獣チビラくん一家（ハッタル家）の住まいとして使われており、視聴者にとっては印象深いシーンとなりました。また、映画『社長繁盛記』（1968年）においてもロケ地として利用され、多彩な作品に貢献してきました。

解体と現在

1985年に起爆空間は解体され、現在はその痕跡を探すことはできません。しかし、そのユニークな外観と文化的な影響は記憶の中で生き続けています。時が経つ中で、試みられた起爆空間は、建築やデザインの一部として人々の心に残っており、特に過去の映像作品を通じてその姿を追憶することができるのです。

この特異な住宅が残したものは、その設計思想や文化的価値が如何に強いものであったかを示しています。今後もその影響は建築やメディアにおいて語り継がれていくことでしょう。

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