試作九糎空挺隊用噴進砲

試作九糎空挺隊用噴進砲

試作九糎空挺隊用噴進砲（しさく9せんちくうていたいようふんしんほう）は、大日本帝国陸軍が開発した携帯式対戦車ロケットランチャーです。この兵器は、主に空挺部隊に配備されることを想定したもので、初期の設計と性能を踏まえて実用性を高めています。

概要

この噴進砲は、試製四式七糎噴進砲とほぼ同時期に研究され、試作段階で様々な改良が施されたものです。基本的に約1500mmの砲身を持つ試製九糎噴進砲を元に、よりコンパクトな1200mmに改良されています。これにより、携行性が向上し、空挺部隊の機動力と戦闘力を大幅に底上げする狙いがありました。

この噴進砲には後脚部に簡易の駐鋤が付いており、射撃時の安定性を向上させるために調整可能な仕様となっています。これにより、発射時の反動を確実に抑えることができ、より精度の高い射撃が可能になります。使用される弾薬は有翼型のタ弾で、これにより射程と威力が増大しており、特に120mmの鋼板を貫通する力を持つことが特筆されます。

開発の背景と運用

試作九糎空挺隊用噴進砲の開発は、連合軍の戦車に対抗するための対策の一環として行われました。特に、空挺隊は迅速な展開が求められるため、軽量で持ち運びが簡単な対戦車兵器の必要性が高まっていたことから、本砲の設計も進められたのです。この武器は、戦場で柔軟に対応できるような特性を持つことを目的にしていました。

1944年7月、伊良湖試験場での竣工試験が行われましたが、その後の戦局の変化に伴い、大規模な配備は実現しませんでした。この兵器は実戦での試用を重視していましたが、終戦までに十分な運用実績を積むことができなかったのです。

まとめ

試作九糎空挺隊用噴進砲は、大日本帝国陸軍が空挺部隊のために開発した対戦車ロケットランチャーとして、試作段階での革新性が際立っています。小型化と軽量化を図りつつ、十分な火力を確保することで、戦闘能力を高めようとした点は評価されるべきでしょう。残念ながら、実戦投入には至らなかったものの、その設計思想は後の兵器開発に影響を与えたとも考えられます。

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