試製四式七糎噴進砲は、第二次世界大戦末期に日本で開発された対戦車
ロケット弾発射器であり、その秘匿名称から「ロタ砲」とも呼ばれています。この
兵器は、
ドイツの
パンツァーシュレックやアメリカの
バズーカに類似した設備ですが、独自の設計が施されています。具体的には、
ロケット弾の安定方式がうねりを加える旋動（スピン）安定式である点が特徴です。
1943年4月、
ドイツから潜水艦を通じて
パンツァーシュレックの設計図が日本に伝わりましたが、開発はさまざまな困難に直面し、実戦に投入されたのは終戦の直前でした。この背景には、技術的な課題や資源不足が影響しています。
試製四式七糎噴進砲の発射器は、全長1500mm、厚さ2mm、内径74.0mmの2つの砲身で構成されています。これらの砲身は、背負具を使って一人でも簡単に携行できるように設計されています。固定式の照星は射程50mと100mに設定されており、射撃時には脚托架を使って砲を安定させつつ、射手は両手で操作可能です。
発射時、射手は防焔布と防塵眼鏡を着用し、照準を合わせてから引環を引きます。これにより撃発機が作動し、撃鉄が弾薬を発射します。発射される弾薬は噴進穿甲榴弾で、特定の信管が装着されていますが、不良品も多くあったため、実用面での課題が指摘されます。
この
砲弾は弾径72mm、全長359mm、炸薬710gを搭載しています。発射時には7本の推進薬が燃焼し、独特の旋動を加えた状態で飛翔します。貫徹能力は鋼板80mmを貫くことができ、射程100mでの命中率は約60%でした。
1944年から終戦までに、約47,600発が
相模陸軍造兵廠で製造されました。現在でも試製四式七糎噴進砲の現存品がいくつかあり、スミソニアン
国立航空宇宙博物館に展示されています。
試製九糎噴進砲など、試製四式七糎噴進砲を基にした派生型も存在しましたが、大規模な生産には至りませんでした。また、この技術は中国のM20スーパー
バズーカの開発にも影響を与えています。
本
兵器に関する情報源には、佐山二郎著の『大砲入門-陸軍
兵器徹底研究』や『日本陸軍の火砲』などが存在し、さらなる理解を深めるための資料として活用されています。
