試製九七式四十七粍砲

試製九七式四十七粍砲

試製九七式四十七粍砲（しせいきゅうななしき47みりほう）は、1937年に大日本帝国陸軍によって開発が始まった対戦車砲です。この砲は、同時期に開発された九四式三十七粍砲の後継として、より高い装甲貫徹能力を持つことを目的としていました。

開発の背景

1930年代前半、日本において初めて本格的な対戦車砲として採用された九四式三十七粍砲ですが、装甲貫徹力に関する評価は低く、特に当時の列強と比較すると、その威力が不足していることが指摘されていました。ただし、日中戦争においては相手の装甲車両から特段の脅威を感じることがなく、より強力な対戦車砲の必要性についての認識が鈍っていました。さらに、陸軍内部でも新型の47mm砲に対する強い関心や支援が得られない状況が続いていました。

それでも、陸軍では既存の九四式三十七粍砲の性能を向上させるため、新型の徹甲弾の開発を進めると同時に、より口径の大きな対戦車砲の必要性を再認識し、1937年7月に試製九七式四十七粍砲の研究が開始されました。

開発の進展

試製九七式四十七粍砲は、1938年3月に試作が完了し、続けて同年6月に機能修正試験が行われました。その後、10月には人力や輓馬による牽引試験、11月には弾道試験が行われ、試験結果を基に設計の見直しがなされました。特に、牽引方式が輓馬牽引から機械牽引へと変更されることとなり、1939年3月には自動車による運動試験も実施されました。

実用試験も行った結果、機械牽引式に設計変更された本砲は「試製機動四十七粍砲」と名付けられ、1939年9月には九八式装甲運搬車を使用した実用試験が行われました。この頃には、世界情勢が変化し、ソ連との国境での緊張が高まる中、新型の対戦車砲の必要性が強く認識されるようになりました。

最後の影響

試製九七式四十七粍砲は最終的に採用には至りませんでしたが、その開発過程で得られた技術や知見は、後の試製四十七粍砲（後の一式機動四十七粍砲）の基礎となる重要な資料とされました。また、試製九七式四十七粍砲の技術は、戦車砲にも活用され、試製九八式中戦車チホなどの新たな装甲車両の開発にも寄与しました。

参考文献

佐山二郎「日本陸軍の火砲　歩兵砲　対戦車砲　他」(ISBN 978-4-7698-2697-2)光人社NF文庫、2011年。

関連項目

• - 一式機動四十七粍砲
• - 試製九八式中戦車
• - 大日本帝国陸軍兵器一覧

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