試製四式重迫撃砲

試製四式重迫撃砲（ハト）

試製四式重迫撃砲（ハト）は、第二次世界大戦末期に大日本帝国陸軍が開発した試作の自走迫撃砲です。この砲は1944年に技術的な実験として設計されましたが、採用されることはなく、そのため実戦での使用はありませんでした。

開発の背景

1943年から1944年の間、陸軍は三式三十糎迫撃砲を搭載する新しいタイプの自走迫撃砲の構想を立ち上げました。これらの砲は「ハト」という秘匿名称で呼ばれ、新型の自走迫撃砲は四式中型装軌貨車をベースに設計されました。試作段階で4輌が製造され、陸軍士官学校において1944年から1945年にかけて実用試験が実施されました。

最大射程は3,145メートルで、砲弾一発の重さは170キログラムにもなり、その砲身の重量は約1.5トンに達します。このような重さとサイズの砲は、その操作が非常に難しいため、俯仰角度は50度で固定され、射程の調整は弾薬量を変えることで行われていました。

技術的な課題

ハト車の開発時期には、陸軍が噴進砲に成功しており、ハトに必要なコストや運用面での課題が浮き彫りになっていました。この新型迫撃砲は、効率的に運用するために専用の補給車両を必要としていたため、実用化へのハードルは高く、資材難が続く中で大量生産は実現しませんでした。

構造の詳細

ハトの構造は、後部に重い砲が占める形になっています。移動中は砲が運行姿勢に保たれ、車体の後半部に設けられたガイドレールに沿って砲台が移動する仕組みです。運行時には砲がトラベリングクランプによって固定され、射撃時には地面に落ち着いて、支持柱が立ち上がります。これにより、射撃時の反動は主に地面に設置された砲床板が支えることになります。

また、30センチの大口径砲であったため、手動での給弾は極めて難しいものでした。そのため、榴弾を砲口まで持ち上げるための揚弾機と装填機が不可欠でした。これにより、効率的に弾薬を装填することが可能になりました。

発射性能

砲の射界は左右各3.5度で、迫撃砲に特有のライフリングは存在しません。しかし、重い榴弾を初速189.3メートル毎秒で発射するために、砲には駐退器と復座器が設けられ、打込駐鋤による設置が行われました。そのため、迅速な移動や方向転換は難しくなっていました。榴弾の弾道特性は全体的に良好であり、実用性を持っていたものの、戦況が変化する中で実戦には持ち込まれませんでした。

文化的意義

試製四式重迫撃砲（ハト）は、ゲーム『R.U.S.E.』などのフィクションでも登場しています。これによって、当時の技術の発展や戦略がどのように描かれているのかを知る手がかりとなります。日本の自走砲としての役割を担う姿は、戦車や他の火砲と同様に当時の軍事の側面を象徴的に表現しています。

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