試製自動小銃甲

試製自動小銃甲号の概要

試製自動小銃甲号（しせいじどうしょうじゅうこうごう）は、1930年代に大日本帝国陸軍により試作された自動小銃です。この銃は、当時の歩兵用武器として期待され、主に乙号および丙号と共に競争的に開発されました。

開発の経緯

甲号の開発は、大正9年7月に制定された陸軍技術本部兵器研究方針に基づく歩兵兵器開発計画の一環として行われました。この計画は、歩兵銃、機関銃、狙撃銃等の多様な武器を対象としていましたが、他の兵器開発が優先されたことから、甲号の開発が本格化したのは昭和7年となります。また、この時期には十一年式軽機関銃や航空機用機関銃の改良が急がれていました。

当初の計画は進展していたものの、昭和13年の国家総動員法施行に伴い、三八式歩兵銃の生産が急務となったため、主導権を握る自動小銃の生産が一時中止となりました。

自動小銃としての特徴

甲号の開発においては、小倉工廠が主導し、3社の民間企業とともに共同開発を行いました。興味深い点としては、甲号がアメリカのピダーセン自動小銃を参考にしたという主張がありましたが、陸軍では昭和5年以前からその研究を進めていたものの、甲号の設計は担当技術者の独創的な努力が反映されています。その結果、外観は類似しているものの、内部構造はまったく異なります。この違う点を示す重要なデータとして、ピダーセン自動小銃が300の部品から成るのに対して、甲号は117点で構成されていることが挙げられます。

試験と課題

開発段階において、甲号は第三次試作品まで試験を重ね、その性能は高い信頼性を示しましたが、命中率に関して問題を抱えていた他のモデルに比べて、命中精度の優位性が評価されていました。しかし、当初は焼付や後退不良といった故障が多発し、使用に当たっていくつかの改善が求められました。

昭和11年、陸軍技術本部は最終的な改修項目を定め、小倉工廠と日本特殊鋼合資会社に対して、長短各4挺の計16挺を発注しました。その後、実弾を使用した数々の試験を行い、合計2万発の実包が消費されました。試験は、妙高山での演習および戦闘実験という形で行われ、ここでのデータをもとに開発は一応の完成を見ました。

参考資料

この試製自動小銃甲号に関する詳細な情報については、佐山二郎著『小銃 拳銃 機関銃入門』に掲載されています。この資料は、甲号の開発過程や技術的特色についての豊富な情報を提供しています。

関連項目

• - 九九式短小銃
• - 四式自動小銃
• - 試製自動短銃
• - ピダーセン自動小銃
• - 大日本帝国陸軍兵器一覧

試製自動小銃甲号は、その歴史的背景や技術の進化の一端を示しており、日本の静かな武器開発の一環として注目される存在であり続けています。

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