話の特集

雑誌『話の特集』の歴史と影響

雑誌『話の特集』は、1965年12月20日に創刊され、1995年に休刊となった日本の文化的なミニコミ誌です。この雑誌は、編集長の矢崎泰久によって運営され、彼はジャーナリズムを反権威・反権力の観点から確立しようとしました。雑誌の発行は、日本経済新聞や内外タイムスでの記者経験を持つ彼の手によって行われました。

創刊号は1966年2月1日に発行されましたが、これは流通上の慣習で、実際の発行日は1ヶ月遅れの設定でした。創刊初期は、矢崎の父が経営していた日本社から刊行され、既存の娯楽雑誌『話』に「特集」という名称を付け加えて新しい雑誌名にした経緯があります。しかし、日本社が1995年に倒産すると、同年12月号で一度休刊を余儀なくされました。

その後、矢崎の友人たちの支援を受けて、1967年に再び刊行され、次第に別の印刷会社に移管されていきました。創刊当初から、多くの文化人やアーティストが参加し、特にアートディレクターの和田誠、詩人の谷川俊太郎、劇作家の寺山修司らが創刊に関わっていたことが特徴です。これにより、『話の特集』は若者を中心に支持を受けることとなりました。

発行部数がピーク時に20万部に達した背景には、当時の先端的な文化人たちが数多く登場し、魅力的な内容を提供していたことがあります。表紙には横尾忠則の作品が使われ、イラストや写真には宇野亜喜良や篠山紀信などの著名なアーティストが関与しました。ただし、刷り数が7万部でも、実際の販売は1万5千部にとどまり、販売面では振るわなかったと伝えられています。

1967年にはアートディレクターズクラブからADC賞（銅賞）を受賞し、さらに1970年には自身の株式会社を設立。その後も話の特集句会の開催など、さまざまな活動が行われるほどの影響力を保持しましたが、1995年3月号を最後に休刊となりました。

近年では、2005年に創刊40周年を記念した特別号が出版され、関心を持つファンの間で再評価される動きも見られました。初期の社員には、後に著名な作家となる倉本四郎や山田正紀、ジャーナリストの内藤三津子なども名を連ねており、彼らのその後の活動にも影響を与えました。

また、別冊として発行された『ビートルズ・レポート』や、寺山修司、永六輔などの特集も評価が高く、文化的な記録としての重要性を持っています。これらの出版物を通じて、当時の社会や文化の動向を知る手段ともなっています。

このように、『話の特集』は日本の文化シーンにおいて重要な役割を果たした雑誌であり、その影響は今なお続いています。

もう一度検索