認知障害

認知障害は、精神疾患の一種であり、主に学習、記憶、理解、問題解決といった認知機能に障害をきたしている状態を指します。健忘、認知症、せん妄などが認知障害に含まれます。

ただし、不安障害、気分障害、精神病などにおいても認知機能の低下が見られることがありますが、DSM-IV-TRでは、これらの疾患においては認知機能の問題が主な症状ではないため、認知障害には含まれないとされています。

認知障害の原因は、種類によって様々ですが、最も多いケースは脳の記憶に関わる部位へのダメージです。治療法も原因によって異なり、薬物療法やセラピーが用いられることが一般的です。しかし、種類によっては症状を鎮静させることはできても、根本的な治療法が存在しない場合もあります（例：健忘）。

認知障害の分類

認知障害は、症状や原因によっていくつかの種類に分類されます。

1. せん妄

せん妄は、脳に直接的な負荷がかかる状況下で起こりやすいとされています。主な症状としては、覚醒水準の低下や見当識障害などの意識障害が突然発生します。せん妄の経過は比較的短いものの、重篤な場合には命に関わることもあります。高齢者の場合、軽い意識障害がせん妄と認知症の初期症状と重なることがあるため、仮性認知症と呼ばれることもあります。

2. 認知症

認知症は、加齢や外傷などが原因で引き起こされ、患者の記憶の一部または全体が失われる状態です。老年期において発症することが多いですが、若年層でも発症する可能性があります。また、認知症によって別の種類の認知障害が引き起こされることも少なくありません。加齢による認知症は不可逆的なものであることが多く、記憶や認知機能の低下は生涯にわたって続くことがあります。認知症のスクリーニングには、ミニメンタルステート検査 (MMSE) などが用いられます。

3. 健忘

健忘症の患者は、長期記憶を保持することに障害があります。健忘には、前向性健忘と逆向性健忘の2種類があります。

前向性健忘: 新しい出来事を記憶することが困難になる状態です。脳の海馬が損傷した場合によく見られます。
逆向性健忘: 過去の記憶が失われる状態です。こちらも海馬の損傷によって引き起こされることがあります。

参考情報

認知障害について -多発性硬化症と向き合って!
認知障害に対するリハビリテーション (PDF)

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