誓願寺 (東京都府中市)

誓願寺の概要

誓願寺（せいがんじ）は、東京都府中市にある浄土宗系の単立寺院です。この寺院は、その歴史と、過去に経験した変遷を経て、現在の姿に至っています。

歴史

誓願寺は1592年（文禄元年）に、見蓮社東誉によって開山されました。この寺院の起源は、徳川家康の命により、相模国小田原（現在の神奈川県小田原市）にあった同名の誓願寺が、江戸にも設けられたことに始まります。当初、この寺は神田に位置していましたが、1657年（明暦3年）の明暦の大火により焼失し、その後、浅草田島町（現在の東京都台東区西浅草）に移転しました。

江戸時代には、誓願寺は寺領400石を有し、多くの塔頭を抱える有力な寺院でした。明治時代に入っても、「本寺本区の大刹の一にして、鐘楼・唐門等尚旧時の観を存し」と『浅草区誌』に記されるほど、その威容を保っていました。しかし、各塔頭は明治期にそれぞれ独立した寺院となり、各院が取り次いでいた檀家も各院固有の檀家となりました。

1923年（大正12年）の関東大震災では、誓願寺は建物がことごとく焼失してしまいました。この災害を機に、寺は現在の府中市に移転することとなりました。一方、旧塔頭11院は、東京府北豊島郡下練馬村（現在の東京都練馬区）に移転し、「田島山十一ヶ寺」という寺院群を形成しています。この「田島山十一ヶ寺」は、かつての誓願寺の塔頭が独立して形成されたもので、それぞれの寺院が独自の歴史と信仰を守り続けています。

交通アクセス

誓願寺へのアクセスは、多磨駅より徒歩約8分です。このため、公共交通機関を利用して比較的容易に訪問することができます。

参考文献

東京市浅草区 編『浅草区誌 下巻』文会堂書店、1914年
練馬区立石神井公園ふるさと文化館 編『練馬の寺院』練馬区立石神井公園ふるさと文化館、2012年

誓願寺は、その歴史の中で幾度かの変遷を経験しましたが、現在も府中市において地域に根ざした活動を続けています。また、かつての塔頭が形成する「田島山十一ヶ寺」も、練馬区においてそれぞれの歴史を刻んでいます。

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