誰がために鐘は鳴る (アルバム)

浜田省吾『誰がために鐘は鳴る』

『誰がために鐘は鳴る』（英題：FOR WHOM THE BELL TOLLS）は、浜田省吾が1990年6月21日に発表した12枚目のオリジナル・アルバムです。タイトルの由来は、アメリカの作家アーネスト・ヘミングウェイの同名小説から取られています。浜田省吾の作品には、アメリカ文学からの影響が色濃く見られることが特徴です。

制作背景

前作『FATHER'S SON』から2年3ヶ月ぶりにリリースされた本作は、具体的なコンセプトは設けられていません。しかし、制作当時、精神的に苦しい時期を過ごしていた浜田省吾の心情が反映され、「生と死」や「救済」といったテーマが色濃く表れています。彼はこのアルバムについて、「一人前のミュージシャンとして、自分の音楽を自信を持って届けられる作品になった」と語っています。

音楽性

本作では、シンセサイザーなどの電子楽器の使用を極力控え、ミュージシャンの演奏技術を最大限に活かしたアレンジが特徴です。アルバム全体のアレンジは、キーボード奏者の梁邦彦が担当し、楽曲に深みと奥行きを与えています。

再発盤

1999年には、リミックスとリマスタリングが施された再発盤がリリースされました。この際、ジャケットに表記されていたタイトルが日本語から英題に変更されています。

記録

アルバムに先駆けてシングルカットやタイアップは行われなかったにも関わらず、オリコンチャートで最高2位を獲得し、最終的には50万枚以上を売り上げました。1996年時点での累計売上は810,149枚を記録しています。

収録曲について

MY OLD 50'S GUITAR
ヘミングウェイを彷彿とさせる、銃で自ら命を絶つ男性の姿を描いた楽曲。
BASEBALL KID'S ROCK
往年のプロ野球選手を主人公にした楽曲。高橋慶彦（元広島〜ロッテ〜阪神）をイメージして制作され、田村勤（元阪神）や川相昌弘（元巨人〜中日）のテーマ曲として使用されました。
少年の心
青の時間
サイドシートの影
浜田省吾自身が「非常によく書けた」と評価するラブソング。「愛すべき相手がいない」という状況を歌っています。
恋は賭け事（ギャンブル）
夜は優し
SAME OLD ROCK'N ROLL
太陽の下へ
詩人の鐘
バブル景気に沸く日本社会を冷静な視点から捉えた楽曲。1998年にはリメイクされ、両A面シングル「詩人の鐘/日はまた昇る|詩人の鐘_日はまた昇る」としてリリースされました。
夏の終り

参加ミュージシャン

THE BAND

浜田省吾：Vocals
町支寛二：Guitars & Backing Vocals
高橋伸之：Drums
関雅夫：Bass
古村敏比古：Saxophone & Flute
梁邦彦：Keyboards & Computer Programming

ADDITIONAL MUSICIANS

溝口肇：Cello
小林靖宏：Accordion
渡辺等：Mandolin

『誰がために鐘は鳴る』は、浜田省吾の内面世界と社会への眼差しが融合した、聴き応えのあるアルバムです。

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