論理リンク制御

論理リンク制御（LLC）とは

論理リンク制御（Logical Link Control、以下LLCと略す）は、OSI参照モデルにおけるデータリンク層を二つに分割した際の上位に位置する副層です。具体的には、IEEE 802.2という規格によって定義されており、イーサネット、トークンリング、無線LAN（WLAN）など、多種多様な物理メディアを抽象化し、統一的なインターフェースを提供する役割を担っています。

LLC副層は、異なる物理メディア間の通信プロトコルの差異を吸収し、ネットワーク層に対しては、物理的な接続形態を意識させない、一貫したデータ伝送サービスを提供することを目指しています。これにより、ネットワーク層のプロトコルは、特定の物理メディアに依存することなく動作することが可能となります。

LLC副層の主な機能

LLC副層は、主に以下のような重要な機能を提供しています。

1. プロトコルの多重化と非多重化：
- 送信時：上位層からのデータを、適切なMAC（Media Access Control）副層プロトコルに多重化します。これにより、一つの物理メディア上で、複数のネットワークプロトコルを同時に利用することが可能になります。
- 受信時：受信したデータを、どのプロトコルに属するかを判断し、上位層にデータを引き渡します。これにより、受信側で適切なプロトコル処理が行われます。

2. フロー制御とエラー処理：
- フロー制御：データ送信速度を調整し、受信側の処理能力を考慮してデータが溢れるのを防ぎます。これにより、ネットワークの安定性が向上します。
- 破棄パケットの検知と再送：伝送中に失われたり破損したパケットを検出し、再送することで、データの信頼性を確保します。

3. プロトコルサポートの拡張性：
- IEEE 802で規定されたプロトコルだけでなく、FDDI（Fiber Distributed Data Interface）のように、IEEE 802で規定されていないプロトコルも、IEEE 802.2の枠組みで扱うことができるように定義されています。これにより、LLCは多様なプロトコルに対応できるようになっています。

LLCの重要性

LLC副層は、データリンク層において、異なる物理メディア間の通信を抽象化し、ネットワークの柔軟性と拡張性を高めるために不可欠な存在です。LLCがあることで、上位層のプロトコルは、物理メディアの差異を意識することなく、データ伝送サービスを利用できます。また、LLCは、様々なプロトコルをサポートする能力を持つことで、ネットワーク技術の進歩に対応し、多様な通信環境に対応できます。

非IEEE 802プロトコルの扱い

いくつかの非IEEE 802プロトコルにおいては、MAC層とLLC層を分けて考えることができる場合があります。これは、LLCの設計が、異なるプロトコルに対して共通のインターフェースを提供できるように考慮されているためです。これにより、非IEEE 802プロトコルも、LLCの恩恵を受けることができます。

関連技術

LLCと関連する技術として、以下のようなものがあります。

Open Data-Link Interface (ODI)：異なるネットワークドライバを同じプロトコルスタックで使用できるようにするインターフェース。
Network Driver Interface Specification (NDIS)：ネットワークドライバとプロトコルドライバ間の標準インターフェース。

これらの技術は、LLCが提供する抽象化の概念をさらに発展させ、ネットワークシステムの柔軟性と拡張性を向上させる上で重要な役割を果たしています。

LLCは、現代の複雑なネットワーク環境において、データの効率的かつ信頼性の高い伝送を実現するために不可欠な技術であり、その役割は今後もますます重要になると考えられます。

もう一度検索