諫山元貴

諫山元貴：制御不能な変化を捉える美術家

諫山元貴（いさやま げんき）氏は、1987年生まれの日本の美術家です。大分県出身で、京都造形芸術大学、広島市立大学大学院を卒業後、映像や立体作品を通して独自の芸術世界を展開しています。

彼の作品は、物質が不可逆的な変化を遂げる様子を捉えたものです。特に、既製品を複製し、それを水中で崩れていく過程を定点撮影した映像シリーズは、速度編集や音声を排し、静謐な中で物質の変容という時間性を深く見つめる機会を提供しています。このシリーズにおける「崩壊と複製」というキーワードは、諫山氏の作品世界を理解する上で重要な概念となっています。

諫山氏は国内外で積極的に活動しており、2014年にはドイツのベルリンに滞在、レジデンスプログラムに参加するなど国際的な視野も持っています。2016年には、イスラエルのユダヤ博物館で開催された展覧会に参加し、「Chair」を発表。2019年にはNONIO ART WAVE AWARD 2019でグランプリを受賞、やくしまるえつこ氏から高い評価を受けています。やくしまる氏からは、彼の作品が「意識そのものをリセットするコード」のようだと評されました。

近年は、広島市現代美術館や高松市立美術館など、主要な美術館で個展やグループ展に参加し、多くの作品がこれらの美術館に収蔵されています。2021年には広島駅南口地下広場で「Objects #7」を展示し、同年「screen」、「Objects#４」が広島市現代美術館に収蔵されました。2022年には、アメリカのBenton Museum of Artでの展覧会「Each Day Begins with the Sun Rising」に参加し、「screen」、「Objects#９」を展示、そしてこれらの作品も同美術館に収蔵されています。2022年の高松コンテンポラリーアート・アニュアルでは、焼成前の陶器を水に沈め、その崩壊過程を捉えた映像作品を発表し、翌年には「Objects＃14」、「Objects＃15」が高松市美術館に収蔵されるなど、高い評価を獲得しています。また、2021年にはBankART1929主催のUnder 35にも選出されています。

諫山元貴氏の作品は、制御不能な外的要因によって引き起こされる物質の変容という、普遍的なテーマを繊細かつ力強く表現しています。彼の作品は、物質の儚さと、その変化の中に潜む美しさ、そして時間の流れを深く考えさせてくれるでしょう。今後も、彼の活動から目が離せません。

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