諸井四郎

諸井四郎：近代日本の発展を支えた実業家

諸井四郎（もろい しろう）は、1869年（明治2年）に武蔵国児玉郡本庄宿（現在の埼玉県本庄市）で生まれ、1954年（昭和29年）に85歳で没した実業家です。彼は、西武鉄道の取締役や日本煉瓦製造の会長など、多岐にわたる事業でその手腕を発揮しました。

生い立ちと初期のキャリア

諸井四郎は、中山道最大の宿場町であった本庄宿で、東諸井家10代目当主・諸井泉衛の四男として生まれました。1900年（明治33年）に東京帝国大学を卒業後、京釜鉄道会社に入社し、会計課長を務めました。しかし、1908年（明治41年）に鉄道が国有化されると、会社を退社します。

東亜製粉と事業の多角化

退社後、諸井は東亜製粉会社を設立し、社長に就任します。しかし、1925年（大正14年）に日本製粉会社と合併したため、東亜製粉は消滅しました。その後、西武鉄道、秩父鉄道、東京毛織などの取締役を兼務し、事業の多角化を進めました。

日本煉瓦製造での活躍

1933年（昭和8年）には、日本煉瓦製造の専務取締役に就任し、後に会長となりました。日本煉瓦製造は、日本の近代化に不可欠な煉瓦の製造を担い、その発展に大きく貢献しました。諸井は、その経営手腕によって、会社の成長を牽引しました。

家族と親族

諸井家は、多くの distinguished figures を輩出しています。母・さくは、三代・渋沢宗助の二女であり、妻・せきは柿沼谷蔵の長女です。長兄の諸井逸郎、次兄の諸井恒平、三兄の諸井時三郎、弟の諸井六郎もそれぞれ distinguished careers を歩みました。特に、次兄の恒平は秩父セメントの創業者であり、その長男・貫一は日本経営者団体連盟（日経連）の初代会長を務めました。

人となり

兄弟の中でも最も長生きした四郎は、弟・六郎の没後に出版された『諸井六郎君追悼遺芳録』の中で、六郎の性格について詳しく語っています。このことからも、彼の家族に対する深い愛情がうかがえます。

諸井四郎は、日本の近代化を支えた実業家として、その名を知られています。彼の事業への貢献はもとより、家族を大切にする姿勢は、現代においても学ぶべき点が多くあります。

参考文献

『本庄人物事典』
諸井忠一著 『諸井六郎君追悼遺芳録』

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