諸君!

月刊オピニオン誌『諸君!』の概要

『諸君!』は、1969年5月に初号が発行され、文藝春秋により月刊オピニオン誌として刊行されていました。毎月1日に発行されるこの雑誌は、当初のタイトルが『諸君』でしたが、1970年1月号から現在の名称に変更されました。創刊から2009年6月号まで、約40年間の歴史を持ち、最終号では内田博人が編集長を務めていました。

創刊の背景と特色

創刊の初代編集長には田中健五が就任し、その後、福田恆存や三島由紀夫をはじめとする著名な文化人が寄稿しました。この雑誌は、保守系団体である「日本文化会議」の機関誌として位置づけられるものの、社内では反発もありました。特に、258人の社員のうち58%に当たる149人が賛同しない意見を示し、その結果、文藝春秋社において労働組合が結成されました。

寄稿者と思想の多様性

『諸君!』は、著名な保守系論壇人に加え、左派に属する著者や中道左派の評論家も登場させるなど、思想の幅を持たせました。例えば上野千鶴子や大沼保昭といった人物が論説や対談に参加しており、敵対する立場の意見を取り入れる方針がありました。特に、創刊時の田中美知太郎の寄稿から、近年では作家辺見じゅんが明治生まれの作家とのインタビューを連載するなど、様々な分野の知識人を起用していました。

一方で、編集部は朝日新聞への批判にも力を注ぎ、歴史問題や文化の自立に関する論説を展開していました。特に1980年代では、清水幾太郎の核武装論、とりわけ1980年7月号では過去の実売部数を大きく上回る販売を記録しました。この号の成功は、論争を巻き起こすものであり、賛否両論が誌上に寄せられることになりました。

休刊と復刊

定期刊行を続けていた『諸君!』ですが、2009年には経済的要因が重なり、6月号をもって休刊を発表しました。その後、2012年に特別号として復刊し、北朝鮮問題に焦点を当てる特集が組まれたことで一時的に話題を呼びました。復刊の際には当時の時事問題を反映する内容が求められ、読者の関心に応える形が求められました。

発行部数の推移

『諸君!』は、創刊当初から一定の部数を維持していましたが、1980年代には実売数が増加し、特に1984年の実売部数は6万部に達しました。その後、様々な政治イベントや論争に連動することで、中心的な発行部数は年々変化し、最大で8万5000部に達したとの記録もありました。しかし、2008年には約6万5000部に減少し、最終的には4万部を下回る事態となりました。

社会的影響

『諸君!』は、保守系の意見が主に寄せられた雑誌でありながら、いくつもの視点を参照することで、社会問題や国際情勢に対する多様な理解を促進する役割も果たしていました。近年における日本の論壇において、保守派と左派の対立構造が深まる中で、『諸君!』はそれぞれの視点をユニークに盛り込みながら、視野を広げる媒介となっていました。

今後、政治に関する書籍や論考が求められる中で、『諸君!』の存在は文化的な意義を持つと同時に、現代の日本における知的対話の場としての役割を果たしていることを感じさせます。

もう一度検索