諸谷義武

諸谷義武（もろたによしたけ）

プロフィール

諸谷義武は、1907年 1月17日に熊本県で生まれ、2002年 4月16日に95歳で亡くなった日本の政治家です。長崎高等商業学校を卒業後、長崎市内で底引き網漁業の網元の支配人として働いていました。

原爆被爆と平和への想い

1945年 8月9日、長崎市内の自宅で被爆しました。その際、水を求めて亡くなっていく多くの被爆者を目の当たりにした経験から、平和への強い想いを抱くようになりました。この経験が、後の長崎市長としての平和行政の原点となりました。

政界での活躍

1947年から長崎市議会議員を2期、1955年から長崎県議会議員を3期務め、県議会副議長も経験しました。1967年の長崎市長選で初当選し、1979年まで3期12年間市長を務めました。市長在任中は、グラバー園の開園などの観光文化政策を推進する一方で、被爆地の市長として平和行政にも力を注ぎました。平和祈念式典における平和宣言起草委員会の設置や、アメリカ合衆国内での原爆展開催など、具体的な平和活動を展開しました。また、核兵器保有国の海軍艦船の長崎港への寄港に反対し、この方針は後の歴代市長にも引き継がれています。

美術振興への貢献

長崎の美術振興にも尽力し、1956年の長崎県美術協会創立から1997年まで、40年以上にわたり会長を務めました。

その他の活動と受章

1980年には勲三等旭日中綬章を受章、1996年には長崎市名誉市民となりました。また、1985年から1988年まで長崎県公安委員を務め、公安委員長も経験しました。

死去とその後

2002年 4月16日、心不全のため長崎市内の病院で亡くなりました。同年5月17日には長崎市による公葬が営まれ、没後、従四位に叙されました。