長崎競輪場

長崎競輪場の歴史と特徴

長崎競輪場（ながさきけいりんじょう）は、かつて長崎県長崎市に存在した市営の競輪施設であり、1949年から約18年間にわたって運営されていました。この競輪場は、戦後の復興期の中、地元経済の支援を目的として設立されたもので、多くの市民に親しまれていました。

設置の背景

1948年、福岡県小倉市で第1回の競輪が開催され、その成功を受けて全国で競輪場の設置運動が広まりました。それを受けて政府は、戦災による被害を受けた都市に限り、全国で競輪場を20カ所まで認可する方針を示します。長崎市では、原爆によって財政が苦しい状況下、自転車振興会と協力し、競輪場の設立を実現しました。これにより、長崎市は九州の競輪場の中で3番目、全国では15番目に登録されたのです。

建設と初開催

1949年6月8日、長崎市議会は競輪場設置を可決し、8月には通産省の設置認可が下り、11月には浦上駒場町に長崎競輪場が完成しました。この競輪場は、周回距離333メートルで、完成式してから間もなく、11月5日に第1回の競輪が開催されました。この時の入場者数は約3万3千で、売上金は3,320万円に達しました。

騒乱と運営の波乱

競輪場開設初期からトラブルが続出しました。1950年には初の騒乱事件が起こり、配当金の誤放送が原因でファンたちが騒然となり、警察が介入する事態に発展。その後も八百長騒動や暴動が起こり、競輪場の運営は容易ではありませんでした。国の指導の下で全国の競輪場が一時休場となる中、長崎競輪は依然として運営を続けましたが、問題が解決されることはありませんでした。

廃止の決定

1959年には市議会が競輪事業の廃止を決議し、長崎市の復興が進んでいることから競輪場の存続が必要でなくなったとの考えが強まりました。1967年に至っては、競輪事業廃止の意向が市長表明により公にされ、同年12月13日に競輪事業廃止の条例が可決されました。これにより、多くの市民に支えられていた長崎競輪場はその歴史に幕を閉じることとなりました。

収益の使途

長崎競輪場の収益は、戦後の復興に大いに寄与しました。原爆による壊滅的な被害からの復興が進む中、その収益は学校建設や公共事業の資金として使われるなど、地域振興に大きな役割を果たしました。実際、道路や橋梁の整備、福祉事業などに充当されることで、市民生活の向上にも寄与しました。

現在の状況

長崎競輪場の跡地は、現在長崎市営のラグビー・サッカー場として利用されています。競輪場があった場所は、スポーツが楽しめる場へと生まれ変わり、地域の人々に愛されています。こうした背景には、競技場としての歴史と共に、復興の象徴であった長崎競輪場の記憶が静かに受け継がれているのです。

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