謝恵連

謝恵連（しゃ けいれん）

謝恵連（397年もしくは407年 - 433年）は、南朝宋の時代の文学者であり、その詩才で名を馳せました。彼の家柄は陳郡陽夏県に遡ります。詩人としての彼は、族兄である謝霊運の「大謝」に対して「小謝」と並び称され、後世には南朝斉の謝朓と合わせて「三謝」とも呼ばれるほどの評価を得ました。

生涯

謝恵連は謝方明の子として生まれました。幼い頃から聡明で、10歳にして文章を作ることができたと言われています。彼は何長瑜から学問の手ほどきを受けましたが、遊び好きであったため、父の方明からはあまり評価されませんでした。しかし、族兄の謝霊運は彼の文才を高く評価し、彼や何長瑜、荀雍、羊璿之らとともに詩文の集いを催し、山水に遊んだと言います。世間は彼らを「四友」と呼びました。その後、恵連は豫州に主簿として召されましたが、その職に就くことはありませんでした。

会稽郡吏の杜徳霊との男色関係が発覚し、父の喪中にもかかわらず、彼に五言詩十数首を贈ったことが世間に知れ渡りました。このことが原因で、恵連は罪に問われ遠地に流罪となり、官界で栄達する道は閉ざされてしまいました。しかし、尚書僕射の殷景仁は謝恵連の文才を深く愛しており、彼を弁護して文帝に「臣が幼い頃、世の中にこの詩（文）があるのを見ましたが、それを謝恵連のものとするのは間違いです」と申し上げました。文帝は「もしその通りであるならば、すぐに取り立ててやるべきだ」と答えました。元嘉7年（430年）には、彭城王劉義康の下で司徒法曹参軍となりました。当時、劉義康が治める東府城の堀の中から古い墓が発見され、改葬されることになった際、恵連が祭文を作りましたが、その文章が非常に美しいことで評判となりました。また、「雪賦」も彼の作品として知られており、これもまた格調高い美文であると評されています。

元嘉10年（433年）、謝恵連は亡くなりました。彼には男子がいませんでした。

参考文献

『宋書』巻53 列伝第13
『南史』巻19 列伝第9
* 興膳宏編『六朝詩人伝』（大修館書店、2000年）

もう一度検索