譚盾

譚盾（タン・ドゥン）について

譚盾（たんじゅん、Tan Dun, 1957年8月18日生まれ）は、中国の著名な作曲家で、映画音楽や現代音楽作品で国際的な評価を受けています。特に、映画『グリーン・デスティニー』や『HERO』の音楽はその名を広める重要な要素となりました。彼はグラミー賞やアカデミー賞の受賞者でもあり、国際音楽界での影響力を持っています。

人物・来歴

譚盾は中国湖南省の省都、長沙市で生まれました。彼の幼少期は、シャーマンの存在と村の儀式音楽に影響を受け、音楽的感性を育んでいきました。しかし、文化大革命や上山下郷運動の影響により、彼の村での「因習」は廃止され、厳しい労働を強いられることになりました。この逆境に直面しながらも、譚盾は農民たちを集めて楽団を結成し、様々な楽器を用いて演奏を続けました。特に、食器を楽器として使用することもあったそうです。この経験から彼は二胡の奏法を学ぶことになります。

その後、譚盾は京劇の演奏家として活動することになり、それをきっかけに中国音楽院で学ぶ道を選びました。そこで武満徹の音楽に深い影響を受け、この後の彼の作曲スタイルを形成する大きな要素となりました。

渡米後の活動

1985年、譚盾はアメリカのニューヨークに移住し、コロンビア大学で博士課程に在籍しました。エドガー・ヴァレーズの元で学び、実験音楽との出会いが彼の音楽に新しい視点をもたらしました。また、彼は多様な音楽的要素を融合する力を次第に実感し始めました。

1990年の「アジア音楽祭90」ではACL入野義朗記念賞を受賞し、以後、彼の名は国際的に認知されるようになります。1993年には東京で『オーケストラル・シアター II:Re』が初演され、1997年の香港返還式典に向けて作曲した『交響曲1997天地人』も注目を浴びました。2000年には「Water Passion After St. Matthew」を指揮し、グローバルな音楽イベントにも積極的に関与しました。

また、2008年の北京オリンピックでは「茉莉花」を独自のアレンジで伴奏し、さらに「YouTubeシンフォニー・オーケストラ」のために「インターネット交響曲第一番『英雄』」を作曲しました。

作風の特徴

譚盾の音楽には、独自のオーケストレーションと実験的なアイデアが色濃く反映されています。彼の初期作品『オン・タオイズム』では、指揮者自身のグリッサンドを多用し、このスタイルは彼の多くの作品に見られる特色です。

また、譚盾は従来の楽器の使用にこだわらず、さまざまな素材や手法を取り入れた独創的なアプローチを持っています。水の音を利用した「ウォーターパーカッション協奏曲」や、紙楽器を使った「Paper Concerto」など、彼の作品は常に新たな表現を追求しています。

代表作品

譚盾の主な作品は多岐にわたります。また、数多くの映画音楽やオペラも手掛けており、中でも『マルコ・ポーロ』や『牡丹亭（Peony Pavilion）』、『茶（Tea） A Mirror of Soul』などが評価されています。協奏曲においては、ヴァイオリン協奏曲「Fire ritual」、コントラバス協奏曲「Wolf totem」、ピアノ協奏曲「火」などがあります。

彼の豊かな創造性と独創的なスタイルは、今後の音楽界においても大きな影響を与え続けるでしょう。

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