警察犯処罰令

警察犯処罰令について

警察犯処罰令（けいさつはんしょばつれい）は、明治41年9月29日に内務省令第16号として公布され、同年10月1日に施行されました。この令は、警察犯に対する処罰を規定し、戦後、日本国憲法施行の際には法律として改正された後、軽犯罪法の附則によって廃止されました。

概要

この警察犯処罰令の前身は、明治5年に制定された違式詿違条例であり、また旧刑法に基づく違警罪が背景にあります。旧刑法は、新たに施行された新刑法により廃止されたため、従来の違警罪に相当する規定が欠落していました。そこで、警察犯処罰令が制定され、軽犯罪に対する法的枠組みが提供されたのです。

この令は、刑罰を定める実体法としての役割を持ち、拘留または科料に関する罪のみを対象にしています。警察署がこの令に基づいて拘留や科料を科す手続きには、違警罪即決例が適用され、迅速な処理が可能となっていました。ただし、この決定に不服がある場合は、区裁判所に対して正式な裁判の請求が認められていました。

また、警察署でなく通常の裁判所が警察犯処罰令の違反に関して裁判を行う場合、一般的な手続きとして刑事訴訟法が適用されました。この令は補充法でもあり、他の法律の総則が適用されることが前提となっていました。

違反行為及び刑罰

警察犯処罰令において定められている違反行為は、主に保安警察、衛生警察、風俗警察、交通警察に関連する軽微な故意犯及び過失犯です。具体的な違反行為としては、以下が挙げられます。

刑罰が拘留である行為（第1条）

• - 邸宅潜伏犯
• - 密売淫犯
• - 浮浪徘徊犯
• - 強請面談犯

刑罰が拘留または科料である行為（第2条）

• - 強請強売犯
• - 乞丐犯
• - 入札妨害犯
• - 業務妨害犯
• - 誇大広告犯
• - 不申告犯、抵当権の抹消に関する犯行など

刑罰が科料である行為（第3条）

• - 無許可死屍解剖犯
• - 醜態犯
• - 食品無蓋陳列犯
• - 医療妨害犯など

これらの行為に対する刑罰は、拘留の場合は1日以上30日未満とされ、科料は10銭以上20円未満の金銭罰です。これに関しては、元々は大日本帝国憲法第23条に基づき法律のみによる処罰が必要とされましたが、明治23年の法律により命令によっても罰則を定めることが可能となったのです。

まとめ

警察犯処罰令は、日本の法制度において重要な役割を果たし、軽犯罪に関する処罰の枠組みを提供しました。時代の移り変わりとともに法律が改正され、最終的には軽犯罪法によって廃止されましたが、この令による処罰の在り方は日本の警察制度において重要な基盤となりました。

もう一度検索