警戒航空団

航空自衛隊 警戒航空団

概要

警戒航空団は、航空自衛隊の航空総隊直轄の部隊であり、早期警戒機（AEW）と早期警戒管制機（AWACS）を運用しています。その主な任務は、領空侵犯の兆候を早期に発見し、航空脅威に対して警戒監視を行うことです。

創設の背景

警戒航空団の創設は、1976年（昭和51年）に発生したベレンコ中尉亡命事件が大きく影響しています。この事件で、当時の航空自衛隊のレーダー網には低空侵入に対する盲点があることが明らかになり、防空体制の強化が喫緊の課題となりました。このため、1976年10月に閣議決定された防衛大綱（51大綱）で、警戒航空部隊の編成が定められました。その後、早期警戒機の導入に関する調査が開始され、アメリカへの調査団派遣を経て、1979年1月にはE-2Cの導入が正式に決定しました。

警戒航空隊の誕生

1982年12月、三沢基地に警戒航空準備隊が編成され、翌1983年7月には4機のE-2Cが配備されました。同年11月には部隊使用が承認され、臨時警戒航空隊として正式に発足。その後、E-2Cは1986年4月には8機体制となり、部隊名から「臨時」の文字が外れ、正式な部隊として活動を開始しました。E-2Cは最終的に13機まで増強され、1994年4月に最終号機が受領されました。

E-767導入と部隊改編

E-2C導入後、防衛庁内では、より高性能な早期警戒管制機の導入検討が進められ、1992年にはアメリカへ調査チームが派遣されました。その結果、B767-200ERをベースとしたE-767の導入が決定。1998年3月に初号機と2号機が、翌1999年2月には3号機と4号機が浜松基地に配備されました。1999年3月には警戒航空隊の組織改編が行われ、司令部が三沢基地から浜松基地に移転。E-2Cを運用する第1飛行班が三沢基地に、E-767を運用する第2飛行班が浜松基地に置かれました。2005年には、第1飛行班は「飛行警戒監視隊」、第2飛行班は「飛行警戒管制隊」に改編されました。

西方重視と警戒航空団への改編

2014年4月には、中国人民解放軍の南西諸島方面での活動活発化に伴い、警戒航空隊の組織改編が再度行われました。この改編で、三沢基地の飛行警戒監視隊は廃止され、E-2Cを運用する飛行警戒監視群が新編され、三沢基地に第601飛行隊、那覇基地に第603飛行隊が隷下部隊として編成されました。また、浜松基地の飛行警戒管制隊は廃止され、第602飛行隊が新編されました。2020年3月には、警戒航空隊は警戒航空団へと改編され、司令官の階級が空将補に引き上げられました。同時に、飛行警戒管制群が新編され、第602飛行隊と運用情報隊が隷下に収容されました。

沿革

1982年12月21日：三沢基地に警戒航空準備隊が新編。
1983年2月8日：E-2C初号機及び2号機が三沢基地に到着。
1983年7月15日：E-2C 3号機及び4号機が三沢基地に到着。
1983年11月10日：防衛庁長官よりE-2C部隊使用承認付与。
1983年11月15日：4機のE-2Cにより、三沢基地にて航空総隊隷下で臨時警戒航空隊編成、警戒航空準備隊廃止。
1986年4月5日：三沢基地にて臨時警戒航空隊が警戒航空隊に改編。隷下に第601飛行隊編成。
1987年1月31日：E-2Cによる対領空侵犯措置任務開始。
1994年4月28日：E-2C最終号機受領。
1998年3月25日：E-767初号機及び2号機が浜松基地到着。浜松基地にて飛行開発実験団隷下で早期警戒管制機実用試験隊発足。
1999年2月8日：E-767 3号機及び4号機が浜松基地到着。
1999年3月24日：防衛庁長官よりE-767部隊使用承認付与。
1999年3月25日：警戒航空隊の組織改編により警戒航空隊司令部及び第601飛行隊司令部が三沢基地から浜松基地へ移転。第601飛行隊分割改編され、第601飛行隊第1飛行班（使用機：E-2C）と第601飛行隊第2飛行班（使用機：E-767）に改編。
2000年4月：E-767での対領空侵犯措置任務開始。
2003年11月8日：警戒航空隊創設20周年記念式典を実施。
2005年3月31日：警戒航空隊の組織改編により、第601飛行隊第1飛行班を飛行警戒監視隊へ、第601飛行隊第2飛行班を飛行警戒管制隊に改編。
2013年11月30日：警戒航空隊創設30周年記念式典を実施。
2014年4月20日：警戒航空隊の組織改編により、E-2C運用部隊について、飛行警戒監視隊を廃止し、飛行警戒監視群及び隷下に第601飛行隊を三沢基地、第603飛行隊を那覇基地に新編。併せて、飛行警戒管制隊を第602飛行隊に改編。
2019年3月27日：E-2D初号機が三沢基地到着。
2020年3月26日：警戒航空隊を廃止し、警戒航空団に増強改編。司令職を1等空佐から空将補に格上げ。隊本部を団司令部に改組。飛行警戒管制群を新編。

組織編成

警戒航空団は、以下の組織で構成されています。

警戒航空団司令部（浜松基地）
総務部
防衛部
装備部等
飛行警戒管制群（浜松基地）
第602飛行隊（浜松基地・E-767）
運用情報隊（浜松基地）
飛行警戒監視群（三沢基地・E-2C/D）
第601飛行隊（三沢基地）
第603飛行隊（那覇基地）
第1整備群（三沢基地）
第2整備群（浜松基地）

警戒航空隊廃止時の編成

警戒航空隊廃止時の編成は以下の通りです。

警戒航空隊本部（浜松基地）
飛行警戒監視群（三沢基地・E-2C）
第601飛行隊（三沢基地）
第603飛行隊（那覇基地）
第602飛行隊（浜松基地・E-767）
第1整備群（三沢基地）
第2整備群（浜松基地）

主要幹部

脚注

出典

防衛省発令（将補人事 令和2年3月26日）
防衛省発令（１佐職人事 令和2年3月26日）

外部リンク

警戒航空団｜防衛省 JASDF 航空自衛隊
衆議院議員 河野太郎公式サイト ごまめの歯ぎしり 警戒航空団

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