議院警察権

議院警察権についての詳しい解説

議院警察権（ぎいんけいさつけん）は、国会法第114条によって定義された、各議院の秩序を保つために議長に与えられた警察権のことを指します。この権限は、議長警察権、議長の内部警察権、または院内警察権とも呼ばれ、その内容は基本的に同じです。議院警察権は、国会の自主性に由来し、安全上の問題に対処するための手段として用いられます。

概要

議院警察権は、各議院の紀律を保持する目的で議長に付与された権限です。この権限は自律権に基づき、議院内で必要な場合には実力行使も可能とされます。しかし、一般的な警察権は議院内部では適用されません。それでも、保衛や衛生、建築基準など特定の行政警察権は議院内部に適用されることが認められています。たとえば、保健所による検査などが予定されています。

世界各国でも、議長に警察権を与える規定が憲法や議院規則によって確認されています。ただし、日本の地方公共団体の議会の議長にはこの権限はなく、一般的な警察権が適用されるに留まります。

権限の行使

議長は衛視と警察官を指揮し、議院内部での秩序保持を実施します。この際に必要な警察官は、国会法の規定により、内閣の指示で派遣されます。しかし、警察法との関係で派遣は主に東京都公安委員会の管理下にあり、国会法の規定との間に整合性が欠けているとの指摘もあります。

警視庁と連携し、議事堂外においても警察官の派遣が可能ですが、実際には会期中が一般的であり、閉会中に派遣されることはあまりありません。衛視は議院内の安全を確保し、必要に応じて警察官を国会内に配置することができます。

衛視執行

衛視執行とは、議院警察権を行使し、議院内の秩序を回復するために議長が衛視に命じることを指します。議場や委員会室での議員間の対立や傍聴席からの妨害行為が発生した際、議長が衛視に強制執行を命じることがあります。過去には、議場での混乱を受けて議長が衛視による執行を命令した事例がいくつかあります。

現行犯の取り扱い

議院内で現行犯の発生があった場合、衛視や警察官はその場で拘束し、議長の指示を仰ぐ必要があります。議長は、院内での議員以外の者による秩序の混乱に対して適切な処置を行うことが求められます。しかし、国会文化を考慮し、議員に対しては不逮捕特権が存在するため、議院内の取り扱いには特別な注意が必要です。

限界と特性

議院警察権には明確な限界があります。対象者は、議院内に存在する者全て（議員か否かを問わず）であり、その行使は議事堂内部に限られます。議事堂外や議員会館などでは、この権限は適用されません。

また、国会法に基づき、会期中及び閉会中に権限が行使されますが、実際には会期中にその権限が効果的に発揮されることが多いです。議席の安全性や議事の進行を保つため、議院警察権は重要な役割を果たしています。

もう一度検索